42 勇者村に、村人が1人だけ増えた。

 レガリアは旗タイプに設定して、村に設置した。剣とか錫杖だと城に置きたくなるし。

 でもマノンの村にそんなものはいらない。


 村の強化は村っぽいまま行うって決めてたんだ。

 城壁なんてない。

 でも城壁より硬くて強い木の柵で囲まれる無敵の村。


 なのでレガリアの旗も、城にあるようなゴージャスなのじゃない、風向きと強さを調べるくらいの感じの旗にした。

 レアアイテムには見えないようにね。


 今は村にあるこじんまりとしたやぐらの上で、パタパタなびいてるよ。


「──で木の柵はこの木材を使って作り直します。あとは……これと、これ。それからあれと、それと、そうそう、これも使ってください」


「また始まっちゃったよ、先生のヤツ」


「マノンと出会った頃からの予定でしたので」


 村を広げる。

 農地も豊作が約束されるしね。


「果実の種も用意してありますよ。ほら、これとかおススメです。他にはこれと、これも。あ、こっちのこれとそれ──」


「ネムちゃん、楽しそうね?」


「ええ。外部から持ち込んだタネが強化食材になるのかも実験したいので」


 食べるだけでパワーアップできるからな。

 やるしかないのだ。

 きっとずんだもんも応援してくれるのだ。


 勇者村に相応しいご飯になるよ!


 そんな勇者村に、村人が1人だけ増えた。

 僕です。

 名誉村人でご意見番みたいな感じで住むことになった。


 村を拡張したり、農地を拡張したり、熱望された公衆精霊浴場をオープンしたりしてたら、僕の家も作ってもらうことになったんだ。みんなに歓迎されての移住だったのが凄く嬉しい。


「ありがとうございます」


「やっと先生と暮らせるねっ!」


 子供のころから言ってたもんなあ。

 そんなニッコニコのマノンに、そんなことを言われたら僕もニッコリだよ。


「できたての家、入ってみようっ」


「ええ」


 入った瞬間、僕の視界にシステムログが流れた……アレッ?


「……自宅を手に入れたら魔王になっちゃいました」


「え? 先生が? 魔王?」


「きゅー」


 だから言ったではないか、ってベニが……。


 魔王になるのか?

 魔王になるぞ?

 確かにそう言ってたけどさ、なる予定はないと返事して終わった話のはずなのに。


 勇者プレイじゃなかったら魔王になるのかよ!?


 ここ、勇者村じゃなくて魔界村になっちゃった……。


「どうしましょう?」


「先生っ!?」


 こんなフラグ、知らないよ!


────────────────────────

これにて完結です。

ここまで読んでくださりありがとうございました!


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引き続き読んでいただければ嬉しいです!

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オープニングで勇者に殺されるザコ暗殺者のエルフ少女に転生しちゃったので、その前に勇者ちゃんと仲良くなっておこう ~悪役転生はキビシイです。フラグはどっか行ってください~ ヒコマキ @cell_makimaki

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