暫くして、判決が言い渡される。「主文、被告人・黒田マスオを懲役四十三年に処する。共謀による住居侵入罪・暴行致傷罪・強盗罪、これらにおいて情状酌量の余地は全く無く……」───。


☆☆☆


「すごいねモネちゃん、何人やっつけちゃったの?」


連なって座っている仲良し女子三人組。そのうち、親友の一人・増田あいが立ち上がって言う愛。はいつも静かだが、おしゃべりは嫌いなほうじゃないらしい。逆に二人目の親友・鳥之海めぐみはといえば、パリピ万歳なタイプで両極端だ。モネが裁判官であることは、彼女ら以外は誰も知らないし、知ることはない…そのように、三人の間では信頼関係が成立しているのだ。


「まぁね、末端だから単純で助かったけど、頭脳戦よりしんどいのは肉弾戦やね。痛いしな」


「しかし、高校生で裁判長って、やっぱりぶっ飛んでるよねぇ」


傍に座っている恵が感嘆して言うと、


「怪我とかせーへんかったん?」


反対側に座っていたい愛が心配して声をかけた。


「ううん、心配なのは宏斗くんのほう。痛かったろうに、怖かったろうに」


「……やさしいんやね、モネは。そういや、大の弟想いだもんね」


愛は手をモネの太ももにそっと添わせると、ぼそりと言う。


「そ、そうかな?」


目を伏せがちにして小さな声で言うモネ。


「あ、この子恥ずかしがってるぅ~」


モネの頬をつんつんとする恵。


「べ、別に嬉しいとか、そういうんじゃなくて…」


つんつん。

愛も調子に乗ってきて、


「それをツンデレって言うんよ、モネ、ユー認めちゃいなよ!」


言うと、三人同時に笑いが起こった。

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近森の吟ちゃん 2 中学生の勇気 博雅 @Hiromasa83

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