第10話 死に別れる


 夏休みが終わったと思ってホッとしてたら、次の日には雨で休校。

 翌日の朝三時過ぎに母の姉が亡くなって、仮通夜、お葬式、告別式と続き、台風十号とは遠い地にて、夏休みが明けた後も非日常感から抜けられない毎日が続いていました。


 母は九人兄弟姉妹(わーすごい)。でも二人は生まれて直ぐ、一人は若くして病気で、長男は数年前に亡くなっていて、お姉さんが亡くなったので、今は四人兄妹となった。

 お姉さんは双子で、生まれた時は未熟児。とても苦労して育てられたらしい。

 人生半ばで一度心臓が止まり、今後の人生はおまけだと言いながら八十歳目前まで生きた。すごい。

 いつも元気そうに色んなことをこなしていたけど、ペースメーカーを入れ、難病を抱え、薬もたくさん飲んでたし、そうとう丁寧に生きていたと思う。

 最終的には、こちらを治療しようとすればこっちの数値が悪くなる、という状態で手の施しようがなかった。

 そして前述したように双子。

 双子ではよくあることなのかもしれないけど、妹さんも全く同じ病気を辿っている。

 ベッドのお姉さんを見ながら、「自分の未来を見てる」と言っていたそうだ。


 姉妹を亡くすこと、自分の片割れを亡くすこと、自分の死ぬ様を見ること。


 どれも想像するには難しくて、双子の片割れではない母でさえ、怒ってみたり、思い出話をしてみたり、歌い始めたりと、情緒がもう……。

 心配だからと実家に泊まりに行った姉が、「一人では無理」と夜に酔っぱらった母を連れてきた。

 やれやれと思いつつ、これがいつかの姉、もしくは私が死んだときの残された方の姿だと思うと、眠い目を擦ってマシンガントークに相槌を打ち続けた。



 久しぶりに線香番をするいとこたちとおお酒をくらいながらやかましくした。

 昔はこれを親たちがやっていた。盆暮れ正月、みんなよく飲んでたなあ。

 すっかりいい年になった我々子どもたちが、同じように酒を煽ってあの頃を語った。

 母さん達が知らない兄弟姉妹の親としての姿とか、ほとんど姿を見せなかった幻のいとこに起こっていた事実だとか。今更互いの年の差を確認したりして。


 甥っこ姪っこには優しかった伯母さんは、家族には相当気の強い人だったらしい。

 小さい頃は、酒飲みで煙草喫でパチンコに住んでた父親を悪だと思っていたいとこだったけど(そりゃそうだ)、大人になってから母の理不尽さを理解したらしく、「よく頑張ってたよな」と父を称えていた。


 そうだったんですか伯母さん。

 …………。


 でも退職してからはずっと一緒にいたから、夫婦仲は良かったと思う。

 おじさん、寂しくなるだろうなあ。



 物語は常に人の中にあって、どの人生も趣深い。そして必ず終わりが来る。

 さほど特別な経験をしてこなかったネガティブで臆病者な私だけど、もっと目を凝らして、平凡な毎日を特別に切り取る眼差しや思考を養って生きていきたいなと思いました。




 おまけみたいになってあれだけど、パラリンピック見てる。

 車椅子であれだけ激しく動くってほんとに凄いな。腰が痛くなりそうだけど、どんな感じなんだろうな。

 水泳なんかは、怖くないの?! って初歩的なところでドキドキしてしまった。


 もう秋ですね。

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オリンピックと夏休み 石川獣 @IshiKemo

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