いけいけ勇者様90

最上司叉

第1話

また魔王と勇者と仲間たちの共同生活が始まった。


それはいつも通りでいて勇者はモヤモヤしていた。


魔王と2人で暮らせる日は来るのだろうか?


勇者はふとそんな事を思った。


だが勇者だけ焦れば失敗に終わる。


それまではどれくらいかかるだろう?と勇者は気が遠くなる。


まぁ気長に時期が来るまで待つしかないかと勇者は半ば諦めに近い感じで日々を過ごしていた。


勇者は珍しく1人で魔物退治に出かけた。


なんでも魔王たちは女子会をすると言っていた。


男たちは邪魔にならないように早々に出かけたのだ。


その頃の女子会


「おまたせー」


女がお茶やお菓子を運んできた。


「たいして待っておらぬのう」


魔王は女を手伝いお菓子をテーブルに並べた。


「それじゃあ始めようか」


「うむ」


「そうだね」


女子会メンバーはドラゴンの女と魔王と女だ。


年頃の女が集まればやっぱり話題は恋バナだ。


「ところで魔王ちゃんは勇者様とどこまでいったの?」


「どこまで?」


「鈍いのう」


魔王は意味が分かり顔を赤くする。


「初々しいのう」


「その様子じゃKissもまだか」


女はどこかで安心した。


「…」


魔王は無言でますます赤くなる。


「なんとアヤツがのう」


「…」


女は無言で魔王に嫉妬していた。


なぜなら女もまた勇者のことが好きだからだ。


「…良かったじゃない魔王ちゃん」


女は必死に作り笑いでそう言った。


魔王は照れて俯いている為気がつかない。


「女の嫉妬は怖いのう」


「…」


女は黙るしかできなかった。


もちろん魔王と勇者を祝福したい気持ちはあるが理屈では言い表せれない感情があるのだ。


女は俯きスカートを力いっぱい握りしめている。


するとそこへ魔王の母親が入って来た。


魔王の母親はとっくに亡くなっているがひょんなことから盗人に力を貸しているというか取り憑いているというか。


「なんじゃうちの娘は」


「お母様!」


「めでたいのだから今夜は赤飯じゃ」


「やめて!」


魔王は本気で嫌がっている。


「すまぬ、母親らしいことしてやれなかったからな」


「お母様…」


魔王は少し言いすぎたかな?と反省した。


「それで勇者殿とはどうなっておる?」


魔王は今までの勇者との出来事を話した。


「なに、それはもしやプロポーズではないのか?」


「プロポーズ?」


【ボンッ】


魔王は頭から煙を上げて顔を真っ赤にして下を向く。


魔王は頭の中がパニック状態だ。


魔王は混乱している。


それを見ていた女もまた勝ち目はないと俯きうなだれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いけいけ勇者様90 最上司叉 @moemee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説