十六 銀鈴、帰途につくのこと

【ご注意!】

 ・本作の「目的」は【趣味で執筆】、作者要望は【長所を教えてください!】です。お間違えないようにお願いします。


 ・本作は、予告なく削除することがあります。あらかじめご了承ください。ですので、もしも「まだ読みかけ」という方は、ご自身でWordやテキストエデッタなどにコピペして保存されることをお勧めします。


 ・「作者を成長させよう」などとのお考えは不要です。執筆はあくまでも【趣味】です。執筆で金銭的利益を得るつもりは全くありません。「善意」であっても、【新人賞受賞のため】【なろうからの書籍化のため】の助言は不必要です。


 ・ご自身の感想姿勢・信念が、本作に「少しでも求められていない」とお感じなら、感想はご遠慮ください。

 

 ・本作は、「鉄道が存在する中華風ファンタジー世界」がどう表現できるか? との実験作です。中華風ファンタジーと鉄道(特に、豊田巧氏の『RAIL WARS』『信長鉄道』、内田百閒氏の『阿呆列車』、大和田健樹氏の『鉄道唱歌』)がお好きでないと、好みに合わないかもしれません。あらかじめ、ご承知おきください。お好みに合わぬ場合には、無理に読まれる必要もなく、感想を書かれる必要もありません。あくまでも【趣味】で、「書きたいもの」を「書きたいように」書いた作品です。その点は十二分にご理解ください!

 

 ・あらすじで興味が持てなければ、本文を読まれる必要はありません。無理に感想を書かれる必要もありません。私も、感想返しが必ずしもできるわけではありません。また、感想返しはご随意に願います。なお、ひと言でも良い点を指摘できる作品に限り、感想を書くようにしています。

 

 ・攻撃的、挑発的態度などのご感想は、「非表示」「ブロック」の措置を取りますことを、あらかじめご承知おきください。


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 長洛出発の一八日目。

 御召列車は、午前一〇時に卍湖駅を発車した。帰路は、途中に寄り道をせずに、真っ直ぐ長洛へと帰る。長洛着は、二泊三日後の二〇時三〇分の予定。

 

 既に日は暮れて、汽車は闇の中を走っていた。

 皇帝用御料車内御座所。

 銀鈴は、仁瑜と香々と一緒にしゃぶしゃぶ鍋を囲んでいた。

「たくさんあるから、食べて食べて。お肉は固くならないうちに、すぐに食べてね」

 銀鈴が、真ん中に煙突が立った銅鍋に、向こう側が透けて見えるほどに薄い羊肉、酸菜(さんさい)――鍋専用の酸っぱい白菜漬け――、凍り豆腐(こうやどうふ)、春菊、春雨を放り込んだ。鍋の中の白湯には、短い棒状に切ったネギ、しょうがの欠片、干しシイタケ、干し小海老が浮かんでいた。

「無事終わったし、あとは帰るだけね」

 香々は、薄っすら白くなった薄い羊肉を、ごまだれに浸して食べた。

「供奉員の山酔いも心配していたが、皆軽く済んだようで何より。あとは下るだけだ」

 仁瑜も、羊肉を食べ、合間ににんにくの砂糖漬けをつまんだ。

「夏に来たら、どうだったかしら? 空や湖の青を別とすれば、枯れた草の茶色か、雪の白ばっかりで、緑をほとんど見てないわよ。雪の白や鶴もきれいなんだけど」

 銀鈴は、窓の外に眼をやって、つぶやいた。

「雪が積もっていれば荘厳だが、そうでなければ灰色だしな」

 仁瑜が応じた。

「あちこち寄り道して、吹雪で足止めもあったのに、まだ一八日しかたってないのよね。汽車が無かったら、一年ぐらいかかったんじゃないの? ほんと国も狭くなったわね。このまま乗り詰めで、三日後には長洛でしょう。翼が生えたみたいで、ほんと不思議よね」

 香々がしんみりとした口調で言った。

「……空を飛べる大おばさまに『翼が生えた』って言われても、説得力がありませんよ」

 銀鈴も、しゃぶしゃぶした羊肉をごまだれに浸してパクついた。

「いくらわたしが空を飛べるって、そんなに長い距離も、汽車ほどの速さも無理よ」


 長洛出発の二十一日目。

 卍湖を出て二泊三日後の二〇時三〇分、御召列車は定刻通り、長洛駅に着いた。

 銀鈴は、仁瑜や香々とともに歩廊(ホーム)に降り立った。

 「ご無事の還幸(かんこう)、恐悦至極に存じ奉ります」

 出迎えの丞相――宰相――が仁瑜に対し述べた。還幸とは、行幸した皇帝が長洛に戻ること。

「出迎え、大儀」

 仁瑜が答礼した。


 午後一〇時前、後宮の皇后宮、居間。

「お帰りなさい」

「ただいま帰りました、皇太后さま」

「ただいま戻りました、母上」

「ただいま」

 銀鈴、仁瑜、香々の順に、皇太后に帰宅の挨拶を述べた。

「もう遅いし、祭祀の報告は明日に聞かせてもらうとして、今夜はゆっくりお休みください」

 皇太后は、壁にかけられた柱時計に目をやった。

「皆さま、お疲れでしょう。お風呂へどうぞ。茘娘も棗児も、一緒に入ってらっしゃい」

 銀鈴、香々、皇太后の侍女頭を兼ねる薛霜楓(せつそうふう)が風呂を勧めた。

「ありがとうございます、師姉(しし)。帰りは三日も汽車に乗り詰めだったから。大おばさま、茘娘も、棗児も行きましょ」

 銀鈴たちは、風呂場へ向かった。


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寿国演義 第三巻 皇后銀鈴、御召列車で天空の聖地へ向かい、舞を奉納するのこと ドラコン @dorakonn

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