蜆貝の、気を吐く事。即ち山間に幻の楼を築く。

陽炎の立ち昇る山間の村に、閉ざされた
もの。その神秘と悲願は受け継がれつつも幾夜の幻、揺蕩い絡み合う。
『かげろう』様の婿に選ばれた男の見る
夢は、空中楼閣の如く。

樟脳の爽やかな香と共に現れては怪異を
見切る。諸国漫遊、薬草を探しつつ薬を
商う『薬売りのリン』シリーズ第三作!

今回は、山間の村を覆う蜃気楼の如き、
妖しく不思議な物語。此岸と彼岸の
『あわい』に棲む者たちの千々に乱れた
心の幻。
     さて、今回は如何ように。

蜆の、気を吐く事、即ち
 細やかな夢の間にこそ、結ばれる。

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