質素倹約、質実剛健②
13時27分。
僕はスーパーで昨晩買ってきた税込322円の弁当を食道に流し込んでいた。
実は最近飲み水に拘っている。
ミネラルウォーター厳守、水道水は極力飲まない。
そう決めたはいいものの、ミネラルウォーターは高い。
前言撤回、とまではいかないが「たかが水に金を払うのか」という想いが胸を駆けるときもある。
無論これは水に恵まれた本邦に在る人間だからこそ言うことが出来ることであろうけども。
給餌中、シワの少ない美肌脳を持つ僕は考えても仕様の無いことを考えていた。
帰宅。
ちびれた石鹸で手を洗う。
泡立ちが悪く、軽い苛立ちを覚えるが仕様がない。
何故なら新しい石鹸を使わないのは僕自身の選択だからだ。
本日は「価格を検討 ノンキホーテ」で購入した税込118円の菓子パンで命を繋ぐ。
そしていつもの、取り留めのない妄想を開始する。
まず警察庁警備局からメールが届く。それは現代の赤紙、召集令状だ。
近未来の日本の治安は非常に悪く、我々には官憲としての任務が与えられた。
そしてズールー族のンガワディと共に、いつも通りに短槍片手に不貞の輩へ鉄槌を下すのだ。
そう考えているうちに睡魔が意識を後ろに、後ろへ引っ張ってくる。
僕は咀嚼により、それに抗うことを図る。
-------翌日-------
キャベツを袋の中でドレッシングと馴染ませながら現実逃避することの空虚さを感じ、それでも尚日々の暮らしが変わることはない。
今日も今日とて3袋118円のラーメンに崩した豆腐を入れたものを寂しく啜った。
「デフレ太郎、果たしてお前の明日はどっちだ。」
僕の中の大魔神が、そう届きもしないことを告げていた。
-------翌々日-------
デフレ太郎はまたもや物思いに耽っていた。
生きとし生けるものは須く遺伝子の乗り物に過ぎない。
我々が食べ飲み叫び眠るのも大地にやがて朽ちる朒塊を蔓延らせる、朒を播種するシステムの一部なのだ。
・・・という事を考えている人間はなんと暇なのだろう、そう考えていたのだ。
そんな事は当たり前で、その中でどう生きるかが大事なのだろう。
目先の快楽に負ける事はしばしば。食べては寝るだけの毎日にも意味がある。
所詮人間は自分一人の事しか分からない。
人心掌握に長けた者が人間の心を真につらまえているのであれば、諍いなど起きない世を作るなど容易いだろう。
・・・という事を考えることもまた無意味である。
デフレ太郎は一日の楽しみが、帰り掛け 近くの薬局やスーパーで購入した6本408円のコーヒーを、歩道橋の上でちびりちびりと消費することであり、己がいかに卑小な存在であるかを自覚して 今日もまた
薄れゆく意識の中で、常日頃何処かで諍い争い命のやり取りがあるこの世にあって、変化のない自分の生活こそがファンタジィであるのだとデフレ太郎はデフレ太郎はデフレ太郎はデフレた
デフレ太郎、1000万を貯める アボリジナルバタースコッチ @ikayarod
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