まず、あおりの主従の文字に惹かれたのは私です。
和風ファンタジーの鬼と人の関係というだけで心惹かれるのに、そこに主従関係!!
贅沢盛りですね、わかります。
さて、ヒロイン――桔梗。
序盤は繊細・儚げという言葉が似合いそうな女性だった。大人しく夫に従順。華族らしく、妻らしくを体現したような姿でした。
それが、過酷な状況を乗り越え、死に戻り、さまざまな状況を乗り越えていく彼女の姿が、ストーリーが進むにつれて変わっていくんです。
桔梗という人物は同じなのに、次第に逞しくなる彼女は頼もしくもあります。
また、主従関係の部分である鬼――清影。
彼もまたこの物語にいなくてはならない存在。
とあることがきっかけで主従のような関係なのなるのですが――最初のそっけない出会いから、見違えるようなラストの二人の関係。これもまた、ストーリーを追ったからこそ堪能出来ると言っても過言ではないと思います。
主従関係、死に戻り、異能、鬼、和風ファンタジー。
このどれかの言葉に惹かれたのなら是非手に取っていただきたい作品です。
オススメです。
鬼が登場するお話ってたくさんありますね。
なぜ、人は鬼に惹かれるのでしょう。
悪い鬼、美しい鬼、人を喰う鬼。
こちらに登場する鬼も残虐な鬼です。
しかし、その鬼を前にしても気丈な女性、主人公、桔梗。
月宮(つきのみや)家の娘である桔梗は、華族でありながら落ちぶれてしまっています。
彼女は自分の意見も言えぬまま、お家のためにと生きていくのですが。
タイトルの通り「死に戻り令嬢」の桔梗の奮闘ぶりを、ぜひ、堪能していただきたいです。
一筋縄ではいかないお嬢様、読んでいるうちに応援したくなる作品です。
オススメいたします。
なんて贅沢なおはなしなんだろう、って。
いま、読了したばかりです。はああ、って吐息ばかりが出てきます。余韻に浸っています。
あらすじのとおり、そして他の方のレビューのとおり、主人公は特別な力で死に戻り、時を超えて、美しい相棒である鬼とともに最強の敵に挑み、やがて運命を変えてゆきます。
もう、これ、あらすじの時点で最高は確定しているのですが、その最高を超えてきます。ちょっと良い形で、想像を裏切ってきます。
美しい相棒の鬼。わかります。無双ですよね。なんか美しく護ってくれるやつですよね。そう思って読み進め、己の想像力の底の浅さに呆れつつ、作者さまが用意した世界観にどっぷり浸からせていただいたのです。
どんな世界観か、ですって?
ふふ。わたしなんかに聞いてしまうのはもったいない。
さあ、第一話へ。
わたしといっしょに、沼りましょう。
光と影が交錯する、明治という時代。華族令嬢・桔梗は、嫁入り先での義兄による暴力、夫の裏切り、不当な投獄、そして家族の惨殺と自らの死という非常に過酷な運命に見舞われます。ですが彼女は「死に戻り」という特殊能力を持っていました。生き返った桔梗は自らの運命を変えようと動き出し、そして清影という美しい鬼と出会います。
本作は異種族ラブロマンスであると共に、質の高いミステリーでもあります。なぜ自分は死に戻るのか? どうすればこの悲劇のループから抜け出せるのか? 桔梗は自身の置かれた特異な状況と、繰り返される悲劇の原因に疑問を抱き始めますが、運命は容易には変えられません。「死に戻り」による時間操作を軸に、久遠の時を超えた因縁や奇術の謎が螺旋状に展開され、ループする世界で得られる断片的な情報の数々がやがてパズルのように収束する展開が、読者の心を掴んで離しません。
桔梗は何度死に戻りを繰り返しても諦めず、自分の意志で自分の道を選ぶ芯の強いヒロイン。そんな彼女が慇懃無礼ながらもどこか人間味のある清影と心を通わせていく過程は、まさにラブロマンスの醍醐味です。主従関係から始まる二人の関係は、やがて信頼、そして絆から愛へと変化していきます。二人の間に流れる言葉にならない感情の揺れが、物語に深い余韻をもたらします。
また物語のキーパーソンである鷹彦や幸代といった人物もそれぞれに複雑な背景や思いを抱えており、彼らとの関わりや彼ら自身の行動、選択も物語の大きな転機になります。
舞台の描写もとても鮮やかです。文明開化の息吹が感じられる帝都のざわめき、華族社会の格式と脆さ。明治という時代が持つ独特の空気感が、桔梗の心情や物語の展開と見事に重なり合っています。鬼や奇術といった幻想要素を歴史的事実と織り交ぜ、現実と虚構の境界を溶解させた独自の世界観を構築しており、伝統と近代化のはざまで揺れる人々の姿が、懐かしくも新鮮に映ります。
物語を綴る文章は、時に古風で時に現代的なリズムを持ち、明治という時代の多層的な雰囲気を巧みに表現しています。五感に訴える描写や短い会話のやりとりが、登場人物たちの心の機微を浮かび上がらせます。物語の緊張感や切なさ、そしてほのかな希望が、言葉の選び方ひとつひとつに宿っているように感じます。
時代を超えるロマンス、じれったいほどにゆっくりと近づいていく恋。桔梗と清影がそれぞれの過去や痛みを抱えて未来へと歩み出そうとする姿に、きっと読者も心を打たれることと思います。読了後には希望と再生の余韻と、風が吹き抜けるような爽やかさが残る、そんな忘れられない作品です。
夫に裏切られ何度も死んでは過去に戻る桔梗。
その運命から逃れるため、なぜ自分が奇異な死に戻りを繰り返すのか、謎を探る決心をします。
あまりに酷い嫁ぎ先での出来事。
桔梗は再び戻った過去で、かつて自分を殺した鬼・清影と出会います。
そして、彼から自分が奇術を持つ家系の生まれだと教えられ……。
なぜ桔梗は何度も死に戻るのか。
彼女の持つ奇術とそれを狙う鬼の目的とは?
ただ今第二章の途中まで、まだまだ謎は解けていません。
そして桔梗と彼女を守る鬼・清影との関係はどう発展してゆくの?
もう先が気になって仕方ありません!
自らの運命を切り開くべく奮闘する桔梗。
明治時代を舞台に、恐ろしい鬼との生き残りを賭けた戦いが始まります!
ぶつぶつ文句を言いながらも桔梗に餌付けされていく犬(清影)とのラブロマンスにも期待しています♡
謎解きと頑張る女の子が好きな方、ぜひ一緒に追っかけませんか?
ミステリ&和風&微ロマンスの気配。
主人公とヒーロー(?)はあくまでも互いの目的のため奇妙な協力関係を結んだだけ、恋愛感情どころか友情さえもない始まりで、しかしそこはかとなく奇妙な絆のようなものが生まれているような……。恋愛メインではないからこそ、事件解決へのストーリー要素に夢中になっている隙に不意打ちされるそれの気配がたまらなく素晴らしいです。
奮闘する主人公桔梗はここぞの場面で機転がきく芯の通った女性で魅力的です。
そして何より心惹かれてしまったのは、少女漫画で言えば一応ヒーローにあたるであろう変わり者の鬼、清影。
クールな美青年(見目が良いので)の敬語キャラで、しかし慇懃無礼。人の心を逆撫でするような言動をしますが、彼には彼なりの世界の見え方や信念があるのだろうと納得させられる不思議な魅力があります。
今のところ主人公にデレることまるでなし、なんとも思ってない。マジでなんとも思っていない。所詮人間だもんな。
清影、清影、清影ーー!お前に人の心はあるのか!?ないな!?と振り回されたい。
しかし奇術による命令には逆らえず、また美味しい食べ物につられるなど、そこはかとなく犬っぽさもあり、この狼をいかに手懐けていけるのかと。
非常に読みやすく、続きの気になる作品です。