【詩】あなたの苦しみを半分 私に分けて下さい

菊池昭仁

あなたの苦しみを半分 私に分けて下さい

 留まる秋雨前線あきさめぜんせんが 秋を背中に隠している


 悲しくもないのに 涙が止まらない 秋なのね?



 「カラダ しんどくない?」


 「大丈夫だよ」


 

 あなたはいつも そう言って笑うだけ


 あなたの苦しみを半分 私にも分けて下さい



 拍手喝采のような 季節外れの夕立


 もう夏は終わった筈なのに



 あなたは傘も差さずに雨に打たれ 空を見上げて立っていた


 私に雨宿り すればいいのに


 夏服のまま 土砂降りの中をあなたに向かって駆けてゆく私



 「君が濡れてしまうよ」


 あなたはびしょ濡れのまま 私の傘を取り 私に傘を差してくれた



 「あなたが濡れてしまうわ」


 「僕はもう濡れているから傘はいらない」



 あなたの傘に 私はなりたい


 あなたの苦しみを半分 私に分けて下さい



 あなたはもう 独りぼっちじゃない


 私という傘がいる



 あなたの杖に私はなりたい


 ハロウィーンまで? クリスマスまで? そして大晦日 お正月まで?


 それよりバレンタインまで? もっともっとあなたに生きていて欲しい



 ずっとあなたの傍にいたい


 何処にも行かないで 私を独りぼっちにしないで


 やっと会えたばかりじゃないの?



 あなたは私のすべて


 あなたの人生の重い荷物を半分 私が持ってあげる


 あなたの苦悩を半分にして 私があなたの悦びを何倍にもしてあげたい



 私たちは傘を捨て 抱き合い 雨の中を一緒に濡れた


 アスファルトではしゃぐ 踊る雨



 「愛するとは傘を差すことじゃないわ 一緒に濡れることよ」


 「君はバカな女だね?」



 バカでいい 「あなたバカ」に私はなりたい


 あなたの苦しみを半分 私に分けて下さい


 あなたと人生を歩きたい


 他に何もいらない


 あなたの人生を半分 私に下さい


 私の人生のすべてを あなたにあげるから



 秋の後には寒い冬が来るわ


 降り積もる雪の中を あなたと一緒に歩いて行きたい


 あなたの苦しみを半分 私に分けて下さい



 

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【詩】あなたの苦しみを半分 私に分けて下さい 菊池昭仁 @landfall0810

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