第5話

悩みに悩んだ。

晃と復縁するかどうか。



幸い、龍平は静かに考える時間をくれた。



復縁するか否か。



どうしたらいいものなのか柚葉は結論を出せずにいた。



好きは好きだがまた同じことは繰り返したくない。




このまま離れるべきか。

しかし、龍平の言葉も気になる。



自分の身に起きている不思議な体験も気になる。



一度、晃と話し合う時間がほしいと考えるようになった。




その旨を龍平に伝えた。

すぐに晃の番号を教えてくれた。


記憶してなかったわけでもないが記憶から消し去ろうとしていた連絡先である。





勇気を振り絞って電話をしてみる。




「もしもし?」



「もしもし、私覚えてる?柚葉。

久しぶり。元気にしてた?」


柚葉は努めて明るく振る舞った。


「うん、覚えてるよ。久しぶりだね。柚葉」



「うん、久しぶり!ちゃんとゆっくり晃と話したくて電話したよ。」




「俺も話したいと思ってたところ」




懐かしい時間が流れる。



晃との時間はあっという間に過ぎるのが柚葉にとっては普通のことだった。



「晃、体調大丈夫なの?」



「うーん、ちょっとだめかな?」



心配をかけたいのだか、かけたくないのか?

晃と別れてから月日が流れているため柚葉には察することがもうできなかった。




「私さ、龍平くんから晃と復縁するように気遣ってもらった」




「ああ、知ってる。見兼ねたんだろうね。」



「正直言うと迷ってる。晃との思い出が消えるわけじゃないし、晃と過ごした日々がなくなるわけじゃない。でもやり直すなら今度は些細な言い合いで別れるんじゃなくてちゃんとしたい」



「ちゃんとって?」



「晃は興味ないかもしれないけど!結婚とかも視野に入れて考えていきたいから」




「興味ないわけじゃないよ」




「だからいろいろなことを含めて今日話し合いたくて電話した」




「わかった」




柚葉は身の周りで起こった一連のことを話した。

晃も別れてからどんだけ自分が荒れたのかを話してくれた。



互いが互いに必要としていたこと。

喧嘩した時はお互いに思いやれなかったこと。


これからは同じ過ちを2度と繰り返さないこと。



よく時間をかけて話し合った。

柚葉の気持ちは固まった。



「私、晃とまた一から始めたい」




「うん、俺も」




2人は気持ちを新たに新しい扉を開けたのである。



またやり直すと決めた以上は2度と離れない。

不安に思うことがまた出てきたら口にする。



と様々なことを晃と話すことができた。



とても有意義な時間を過ごしたのである



柚葉と晃の新しい1ページが始まる。

今度こそ2人で手を取り合って行けるように



「ところで私が体験した不思議なことが起きてる時晃は何か思っていたの?ただの私の思い過ごし?」



「いや、俺も体調もメンタルもきつかったから誰かが後押ししてくれたのかも?」




「そっかあー、またこうやって晃と過ごす日々を始めることができてよかった」



と2人は電話を切った。



柚葉は安心したのである。

誰かが私に晃のつらさを教えてくれていたのかな?


そんなことを不意に思った






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ある小さな物語 ささらなみ @ponponta3

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