第3話
トラバーチン模様の、格子状の溝がついた天井。
部屋の壁は少し黄ばんだ白。
床材はリノリウムらしく、誰かが歩くたびにちゃきちゃきと鳴っている。
「知らない、天井だ…」
あの少年の名台詞がふ、と漏れた。
体はあまり自由には動かない。
動かしたい方向に腕が動くのが遅い。
ともかく、今目に入る情報だけで判断しよう。
ここは病院であり、加賀谷怜なる人に助けられた。
少し前まであった骨折などの痛みが和らいでいる事から医療的な処置もされているのだろうか。
「あ、目が覚められたんですね。
体の不調とか、ありませんか?」
病室を巡回していたであろう看護師と思しき女性が声をかけてくれた。
「ああ、ありがとうお姉さん。
あんまり体に自由が効いてない感じがしますね。
なんか動かしたい方向に動くのが遅いというか…」
「なるほどなるほど…
とりあえずうちの上長呼んできますね。
うちではそういう事になってるんです。」
ちょっと待っててくださいねー、と立ち去りながら言う女性。
さっき名札を見たら、春日と言うらしい。
目がぱっちりしていたし、髪型焦茶色のショート。
おそらく人気看護師だろう。
取り留めのないことをうだうだと考えている。
そうしているうちに、もう一度ドアが開く。
いわゆる外開きとか内開きとか言うドアではない。
スライド式だ。
男性がフンッという声をかけながらドアをスライドさせようとするけれど、全然開きそうにない。
「はいはい、アタラ先生は筋力ないんですから…
よいしょっ…と。調子いかがですかー?」
先ほどの看護師「春日」さんである。
後ろに立っているのはアタラ?先生らしい。
漢字はわからないが、なかなか面白い名前だ。
「どうです、お嬢さん。ある程度の痛みとかは落ち着いていると思うんですが…」
ボサボサの白髪、緑色の穏やかな目。
タハハ、という苦笑いは少々自信なさげだ。
「ああ、紹介が遅れました。
私の名前はアタラ。漢字は可能の可、惜別の惜です。名字は捨てちゃいました。」
ニヘラ、と笑いながら告げる青年はそう名乗った。
誰か身近な人を亡くしてしまったのだろうか。
「はい、私の名前は————…
———————————————————————
はい、ということでまだ救助者の名前は保留です!
じゃあ、可惜先生のスペックでも…
身長:187cm 体重:75.3kg
・
・特に要救護者と呼ばれる外部からの重症者を多く診察、治療する急患外来が担当。
・彼が診た救護者は全員一命を取り留めていることから「医神」、「蛇の血を持つもの」の名を持つ。
・二つ名からわかる人もいるかもしれませんが、モデルはギリシャ神話の医神アスクレピオスです。
伝承通り、診察票に体重と身長を偽る人には容赦しません。実際困りますもの…
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不定期更新を予定しておりますので、
「更新マダー?」や「あくしろよ」等々頂ければ、馬車馬の如く書き上げたいと思います、丸。
終末的日本にて 藻屑暦 @81218192
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