あとがき

 約10年以上前、香港で教育改革が始まったばかりの頃、新しく設けられた「通識科」(これは学生たちが社会や時事についてより理解を深めるための科目)に対応するため、関連する多くの教育プランが生まれました。私の作家仲間の一人は大学で社会学を教える教授でもあり、そのような背景からとても興奮していました。そして何人かの友人たちと話し合いを重ねましたが、時代の流れが大きく変わり、その計画は結局日の目を見ることなく終わりました。


 今回のお話は、その計画の一部として、香港の返還前の事物を紹介する目的で考案されたものでした。計画が中止となった時点で、私はすでにプロットを完成させ、冒頭数章を書き上げていました。しかし、それを続ける理由もなく、断念せざるを得ませんでした。私が小説を書き始めた頃、二次創作を除くと、主に推理小説や児童書を執筆していましたが、この作品はその二つを組み合わせたようなものです。それゆえ、個人的にも非常に惜しく感じており、時間があるときやアイデアが浮かんだときに少しずつ書き足し、断続的に何年もかけて作り上げてきました。


 そのため、この作品は実はここに投稿するにはあまりふさわしくないかもしれません。なぜなら、これはライトノベルではなく、対象は小学生から中学校低学年向けだからです。それでも最終的に投稿を決めたのは、やはり交流をしたいという気持ちがあったからです。香港に興味を持ってくれる人がどれだけいるかわかりませんが、もし仮に、たまに誰かがこの作品を読んでみて、日本の学校とどれだけ違うのかを想像してみるきっかけになるなら、それだけでも嬉しいです。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

香港学園の事件簿 玲音 @Immerwahr

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ