(二十六)
結局として、寧北妃は自分の発見を宋国華にも、他の誰にも話さなかった。宋国華は自分の推測が正しいと思い込んで、ひたすら林莉慈に尽くしているけど…まあ、それでいいか。どうせ林莉慈もきっと喜ぶだろうし。彼女は私に感謝するだろうか?いや、林莉慈がお礼を言う姿なんて、全然想像できない。それに、彼女は寧北妃が秘密を誰にも話さないことを見越して、わざと明かしたんだろう。
それにしても、張先生は本当に厄介だった。しつこく寧北妃に問い詰めて、何か発見したのではないかと探りを入れてくる。嘘をつくのも気が引けるけど、本当のことを言うのはもっと嫌だった。さらに困るのは、放課後に集郵部の部室で2時間も過ごさなきゃいけないことだ。逃げ場なんてない。
そんな緊迫した状況で、部室のドアが突然開き、中に入ってきたのは林莉慈だった。
「寧北妃、私、手芸部に入りたい。」
ワイノナは飛び上がるほど喜んだ。一方、寧北妃は少し冷静だったが、それでも本当に嬉しかった。来年、あと2人入部してくれれば、集郵部から独立できるかもしれない。だが、宋国華の反応はもっと劇的だった。
「林莉慈…どうして…」
「急に手芸に興味が出てきただけ。それじゃダメ?」
「ダメってことはないけど…」
「じゃあ、何が問題なの?」
「それは…」
「もう問題ないでしょ?それならよかった。」
林莉慈はそれ以上宋国華を気にせず、寧北妃の前に来て、入部申請書を渡してそのまま座った。
「最近はビーズ編みを作ろうと思ってるんだけど、林莉慈、やったことある?」
「うん、小さい頃にブレスレットを作ったことあるよ。」
「それならいいね!ブレスレットでもいいけど、私はもう少し複雑なものを編みたいな。」
「複雑なもの…念珠とか?」どうしてそんなことを思いついたんだろう。
「違うってば!部長が作るのはこれ!」ワイノナがスマホを取り出し、以前見つけたウェブサイトを開いて林莉慈に見せた。林莉慈はそれを見終わると、からかうような視線を寧北妃に向けた。
「へえ?このデザイン、すごいね。」
「でしょ!」ワイノナはぴょんぴょん飛び跳ねながら、「私、めっちゃ楽しみなんだ!」
寧北妃は苦笑いするしかなかった。
やがて、寧北妃と林莉慈が2人きりになったとき、林莉慈が尋ねた。
「手伝おうか?」
「え?」
「あのデザイン、きっと作れないでしょ?顔見てたら分かるよ。」
「うん…」寧北妃は気まずそうに頷いた。「でも、簡単なものなら作れるはず。それに、私は部長だし、挑戦するのも悪くないかなって。」
「ふーん?」林莉慈は音を伸ばし、最後に少し音程を上げた。
「なに?」
「別に。」林莉慈は微笑んだ。「ただ、部長も悪くないなって思っただけ。」
「じゃあ、君はどうなの?それでいいの?」
「君って…」
「宋国華に本当のことを言うつもりはないんでしょ?」
「もちろんだよ。あの想像力のないバカに理解させるなんて無理。私にも荷が重すぎる。」
「なんだかもったいない気がするけど。」
「そうかな?学歴なんて私の人生を決めるものじゃないよ。」林莉慈は目をパチパチさせながら言った。「君も同じでしょ?」
寧北妃は張先生の自分への評価を思い出し、それも正しいのかもと思った。
「でも、それが君の気持ちを隠す理由にはならないよね。」
「やっぱり君には隠せないんだね。」
「ねえ、あの人のどこがそんなにいいの?どうして好きなの?」
林莉慈は軽く笑い、寧北妃の質問をやり過ごした。
「まあいいや。それで、なんで入部したの?彼を監視したいとか、近づきたいとか?」
「どっちでもない。」林莉慈は首を振り、突然1本の指を立てて寧北妃を指した。「君のため。」
「私?」寧北妃は驚いて呆然とした。「私、あんな奴を好きになるわけないでしょ!」
林莉慈は意味ありげな笑みを浮かべて答えた。「そうとは限らないけどね。」
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