58.手分けして結界張りへ

『いいか、アクアにリル。絶対勝手に何処かへ行くんじゃないぞ。何処か行きたい場所があるなら、必ず俺に言ってから行動しろ』


『はい!!』


『は~い!!』


『それからモンティー』


『はい!!』


『俺達はこれから結界を張りに行くけど、お前達は施設の中なら自由に行動して良いが、絶対に森へは入るなよ。まだ森を案内できていないからな。もしも迷ったり、襲われてやっぱり迷ったり、何かあったら大変だかな』


『はい!!』


『それと街の中ももう少し待ってくれ。一応街の住人には知らせたし、俺の家族って印を付けているから、何かあれば街の人々は助けてくれると思うけど。それでもやっぱり何かあれば困る』


 俺は昨日アメーリアさんに頼んであった、モンティー達ウッサー全員の腕輪を取りに行った。俺達は家族になったから、自然に生きている魔獣じゃない、俺の家族だって分かるよ、腕輪を作ってもらったんだ。俺の骸骨マーク入りのな。

 それが出来上がったって連絡がきて、昨日取りに行ってきたんだ。だから今、全員がその腕輪を付けている。


『街も森も慣れるまで、こういった問題が起きた場合は、動くのは施設の中だけにしてくれ』


『はい!! スッケーパパ!!』


『外への出るには?』


『玄関の僕達専用のドアから出ます!!』


『それから階段を、蹴りの練習をしながら下ります!!』


『パンチの練習も!!』


『……いや、普通に下りれば良いんだぞ』


『1階に着いたら、また僕達専用のドアから外に出ます!!』

 

『とりあえず練習は別として合ってるな。じゃあ帰りは?』


『帰りは逆です!! 1階の僕達専用のドアから入って、階段を1番上まで上ります!!』


『帰りはただ蹴るだけじゃなくて、蹴りと足引っ掻きの練習をしながら上ります!!』


『パンチもです!! パンチだけじゃなくて、手で引っ掻く練習もします!!』


『お家の玄関に着いたら、僕達専用のドアからお家に入ります。それから玄関に置いてあるお水で手足を洗ってから、お部屋に行きます!!』


『……だから練習は良いんだよ、普通に帰ってくれば良いんだ』


 アクアもリルも、うんうん頷いているけど、施設と俺達の家を出入りするだけで、練習する必要ないんだぞ? みんなどれだけやる気だよ。


 それからモンティー達の専用ドアのことだけど。玄関ドア、建物から出るための扉に、モンティー達が簡単に通れるよう、ペットドアみたいな物を付けたんだ。ジャンプで取っ手に届いても、流石に取っ手を押したり回したりはできないだろうから。


 俺とアクアとリルは今日、これから色々な所を周り、結界を張ってくることになっている。呪いのアンデッド対策の結界だ。転移魔法を使えるアマディアスさんは、森から離れた場所へ。


 またアマディアスさんと反対の方角は、モナが転移魔法を使えるため。ジェラルドさん達が結界を張りに行っている。


 俺はといえば、隣の森や近くの海辺、それから岩ばかりの山へと行くことに。少し行った所に港町があるんだ。その港町は、俺達と同盟を結んでいて、街を守るためにアマディアスさんの所から何人か、人を送ってある。


 だから普段だったら何かあった場合、その人達が結界を張ってくれるから安心なんだけど。流石に今回は呪いのドラゴンアンデッドだからな。より強力な結界が必要だろうからと、俺が行くことになったんだ。


 それから岩ばかりの山には、岩系の魔獣達が住んでいて。面白いんだよ。最初会った時は驚いたし。ウルフとかベアーとか、まぁこの世界には色々な魔獣達が住んでいるけれど。この岩の山に住んでいる魔獣達はみんな岩の魔獣なんだ。


 ロックウルフにロックベアー、ロックバードにロックウッサー。本当にみんな岩の魔獣なんだ。だから歩く時はガタゴト音が鳴るし、大きい魔獣となると、普通に地面に立っても地面が凹む事が。


 そして重さのせいで、動きは他の魔獣よりも少し遅く。遅いと言っても、地球の市街地を走る車の速さよりは全然早いが。動きが遅い分、物理的攻撃力は強く。もしも殴られでもしたら何処まで飛ばされることか。その前に粉砕される可能性も。


 だけど岩場に花が咲けば、みんなで世話をしたり、全員で子育てをしたりと、とても優しい魔獣達で、争いを好まない。というか争いごとが苦手というか、少々怖がりの部分が。

 

 それなのにその力を求めて、みんなを捉えて無理やり契約しようとする奴らが。そういった面倒な奴らから守るために、ジェラルドさんは定期的に岩の山へ行って、敵が来ないように圧力をかけてくれている。


 今回はジェラルドさん達は別の場所へ行くために、俺が彼らの所へ。アクアとリルは彼らが大好きで、行く時は必ず着いてくる。今回は俺が結界を張る所をチェックすると。

 チェックかよ。まぁ、彼らもアクアとリルが大好きだから、2匹が居た方が、話しを聞いてもあまり怖がらずに居てくれるかもしれない。


 と、こんなふうに、呪いのドラゴンアンデッドが来るまでに、手分けをして色々な場所へ結界を張りに行く。


『帰りが遅くなるかもしれないけど、何かあった時は師匠に頼んであるから。みんなはすぐに師匠に伝えてもらってくれ。カーソンとノーマンに頼んであるからな』


『はい!!』


 施設の一角を使って、作戦本部を設置したんだ。そして全員がすぐに情報共有できるよう、カーソンとのノーマンが作戦本部の責任者に。

 モンティー達には何かあった時、師匠を呼ぶように言ってある。師匠にもそのことは伝えてあって、俺が居ない時守ってもらう予定だ。その師匠と連絡を取るのに、カーソンとノーマンに頼んであるんだ。


 流石にモンティー達は俺達みたいに、すぐに連絡を取るってのは難しいからな。作戦本部まではすぐだから問題はないだろう。


『それじゃあ、行ってくる』


『みんな危ない時は逃げる』


『すぐ逃げないとダメなの』


『でも何もない時は訓練』


『強くなるなの!!』


『『『はい!!』』』


 いやだから、今は訓練はやめてもらって。何か起きた場合に備えていてくれよ。

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