CAR.17 ハチロクと夏の夜

俺は今、ハチロクと涼しい夜を過ごしている。今日はヤビツではなく横浜を飛び出し、いろは坂にやってきた。そこへAE86のカローラレビンがやってきた。トレノだけでなくカローラレビンも乗ってる人いるんだなぁ。駐車場に停めるとおじさんが降りてきた。



「おう、坊っちゃん。お前さんもハチロクに乗ってんのか。このあたりじゃあ、俺のレビンは自称最速を宣言してんだよ。よろしくな!」何やこいつ?あまりにも馴れ馴れしすぎて、こんな言葉しか頭の中に浮かばなかった。感じが悪すぎて話にならないし、たばこ臭ぇしまじでなんなんだよ。俺がそんな事を考えていると、その自称最速おっさんはたばこに火をつける。




「チッ」「ふぅ〜。」たばこがあまりにも臭かったのでそのレビンの近くから離れた。


最悪だこいつ。


俺はすぐに自分のハチロクに乗り、白い煙を上げて走り去る。


数時間後、戻ってみるとあいつはいなくなっていた。


「アイツむかついた。」捨て台詞を吐いて、またハチロクに乗る。腹が立った俺はハチロクで追いかけに行くことにした。「最速じゃないことを教えてやる!!」


追いかけること数分。やはりあのレビンがいた。






やっぱりいるな。あいつ、そこまで速くもない

のに何が『自称最速を宣言してんだ。』だよ。


イカれてるだろ。とりあえず猛パッシングしてみた。これであいつがバトルの申し出を受け入れるかだな。

「ん?後ろのヤツやる気か?」「コク」4フォースに入れ、スピードを上げて隣に並ぶ。



「こ、こいつはさっきの若いハチロク小僧だ!」そして俺は相手に花を持たせるためアクセルを抜く。「ウウウウゥゥン」レビンがゆっくりと前に出たとき、俺は鼻で笑っていた。


その頃レビンの男は「フッ。やっぱり、俺のほうが速いんだな他所よそから来たやつなんて目じゃないぜ。」


そして後ろにいる俺は煽り始める。対向車アザーカーはいない。こいつとの本気マジのバトルへと持って行く。



数分走ると、道が広くなった。そこで俺は

“ブラインドアタック”を使うことにした。


「そろそろ閉じるか。」ハチロクの目とも言えるリトラクタブルヘッドライトを閉まった。


「よし、これで相手は俺が消えたと思うだろう。」俺は鼻で笑った。


「ん?消えたのか?やっぱり俺が速すぎるからかァ。しょうがないよな。だって俺は“自称最速”だからな。ハッハッハ。仕方ない。少し緩めてやるか。」


レビンのおっさんはそんなことを言っていた。

横からビュンと音がなっておっさんは気づく。


「なんだ?今のは?」おっさんが前方を見ると先程まで後方ケツにいたハチロクの後ろ姿が見えたのだった。



「くそ。やられた。で、でもこっちだって。」


叶うはずもないその望みを賭け、おっさんは必死に追い続けるのであった。


「待てぇ、ハチロクーッ!!!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

峠道(バトルロード)ーBREAKING the Limitー 水無月美冬 @ae86gt-apex

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ