第36話 最終決戦! 世界を破壊せよ!

七重武器の素材は王子が揃えてくれることに。俺は自分の強化に専念するか。


「交配の機能が拡張されました」


脳内アナウンス、交配の機能が追加された。新機能は二つ、交配を日を待たずしていつでも可能、情報から交配可能の二つ。おお、これならその場切り替えも可能か。複数攻撃タイプがもう少し欲しい。尻尾が岩に突き刺さった獣、セイクリッドテイル。選ばれた者しか仲間にできない伝説の魔物。ゲーム上では誰も仲間にできなかった。仲間にしようとしたらスポッと尾が岩から抜けた。機能が拡張されたからというわけではないようだ。


「仲間になるのは初めて見た」


同じく拡張している王子には仲間にならなかった。彼らは誰も仲間にしたことがないとか、まさか俺専用か。今日からお前はテイルだ! 長い尻尾を剣のように使い多数の破獣を倒すテイル。伝説というだけあって強いな。更に他魔物と交配し全体攻撃が強化された。


「ドラゴンみっけ」


シロは三首のドラゴンと交配、スリーファミリアとなる。いわゆるケルベロスに近いかな。ペロペロモフモフが三倍だと! けしからん!! そしてこの世界最強の魔物、インビジブルイーターと交配しパワーアップできることがわかる。この姿はフェンリルか、とんでもない強さだな、まさに神食い。彼の力を使い世界を制覇、全魔物の情報を入手。


「素材が集まったぞ」


この国が協力してくれたおかげで本来なら入手困難な素材が全て集まる。そして七重の槍と七重の弓を制作完了。大岩を破壊するほどの衝撃が七回連続で発生するという最強武器。チート越えてきたな。戦う準備は完了、ダークエルフたちの様子を見ながらあとは待つだけ。


「そろそろか」


情報が入ってきた、アリーが覚醒した。いつもと違う音がする、地鳴り? 付近の様子がおかしい、空を飛び上がり周りを見渡す。


「なんて数だ……」


地を埋め尽くすほどの破獣達がアリーのいる砦に向かってきている。


「突っ込むぞ!」


ジェットを走らせアリーのいる砦に正面から突入。すでに情報は入っている、砦の内部は手に取るようにわかる。そして彼女の荷物もすでに入手済み。協会は全面協力だ。見えてきた、祭儀の儀式をしているところ。


「アリー!」

「アレス!? なんでここに!」


近くの司祭を蹴り飛ばしアリーにビーストボックスを渡す。


「アリーはいただく!」

「ま、まて、世界が!」


アリーと共に砦から脱出。


「アレス生きてたんだ。私はてっきり」


泣きながら抱きついてくるアリー。彼女を受け止め落ち着かせる。


「もう一仕事ある、これが終わったら――」

「うん」


俺こそ落ち着いていなかったのかもな、思わず心の声が漏れ出てしまった。


「いくぞ!」


目的地に向かって出発、ここからが問題だ。地上、空中を埋め尽くす破獣を蹴散らし、ここから少し離れた山まで行かないといけない。魔物を連れ、破獣の海の中に突っ込んでいく。


「ぐ、なんて数だ」

「多すぎる」


四方を囲まれ前進速度が落ちていく。レベルはカンストの60、最強の仲間達だが数の暴力には勝てないのか。


「モウ(相変わらず面白いことをやってやがる)」

「まさか先生!?」


牛先生が登場。


「モゥー(世界の半分は俺の味方さ)」


先生の戦技、メスの破獣は動きを止める。おかげで一気に進めるように。しかし、もう半分オスの破獣は動いている。


「モウ(メスを奪われたオスによって殺される、まあ俺らしい最後かもな)」

「先生ー!!」


牛先生が食い殺されるかと思った直前、破獣が勢いよく分断されていった。この技はもしかして。


「メェー(やれやれ、相変わらず締めが甘い)」


シークレットで知り合った羊の魔物。先生とライバル関係にあり昔はよく一緒に活動していたとか。他の魔物使いさんが使役している魔物。自分の体毛を鋭い糸にして敵を切り刻む。


「モウ(いつぶりかな? 背中を貸すのは。もう女の子だけって決めてたんだけどな)」

「メェ~(相変わらず口は達者だな。そら、遊んでないで片付けるぞ)」


次々に破獣を片付けていく先生達。そしてエン達も応援に駆けつけてくれた。


「聞いてるぞ、このまま一点突破だ!」


彼らだけじゃなく今まで関わった人達が俺に力を貸してくれる。へへ、やめてくれよ、俺こういうのに弱いんだ。しかし泣いている場合じゃない。目的地はもうすぐだ!


「モウ!(行け、アレス!)」


山頂に到着、だが巨大な破獣が行く手を阻む。破獣のボスか、相手にとって不足なし。単体用の魔物にチェンジ、シロはフェンリルに変身。最終決戦が始まる。流石は破獣の大ボス、強力な力を持っている、だがチートを越えたチートの俺達の敵ではなかった。


「ゴァー!!」


断末魔を上げその場に崩れ落ちるボス。勝利の余韻に浸っている時間はない、地面に魔法陣を描きアリーが装置を起動。


「ラーラー」


あれだけ騒がしかった世界の叫びが彼女の歌声によって止まる。痛っ、首の根元の装置が壊れた。画面が表示されない、俺は普通の人間に戻ったようだ。破獣達は動きを止め周りを見渡しここはどこだといった様子。成功だ。シロ達も力を失ったようだ。記憶はあるようで俺にベロベロしてくる。


「やったんだね」

「ああ、俺達の勝ちだ」


抱き合う二人。そして半年が経つ。


「まさか先を越されるとは」

「お前らが一番遅いと思ってたがな、ははっ」


レンとタマラが俺達に話しかける。今日は俺とアリーの結婚式。二人は向かい合い誓いのキスを。


「モウ(見せつけてくれるじゃねえか)」


あれから世界は変わった。破獣と魔物はただの獣に。そして魔物使いは世界から姿を消した。これで良かったのだろうか、いや、そんな事は全く考えなかった。人により無理やり作られた歪められた世界。変えたのではなくただ元に戻しただけと。式を終え翌日。


「ねえ、これからどうなっていくかな」

「わからないな。いや一つだけ、これだけはわかることがある」

「なに?」

「装置はなくてもシロ達とは仲良くやっていけるってことだ」

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レアスキル「交配」を使って自分だけの最強の魔物をつくろう! 保戸火喰 @hotkaku

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