第3話 守り切ることができるのか
――結局、しばらく時間が経った後に部屋に戻ると、レーノとリィルはすっかり落ち着いた雰囲気を見せていた。
「いやぁ、師匠……このたびはご迷惑をお掛けして……」
レーノはそんな風に言いながらも、へらへらと笑っている辺り反省はしていないだろう。
――とはいえ、怒ったところで聞くような二人ではない。
そもそも、獣人の発情期というのはコントロールが難しいものである。
「……そろそろ二人揃って独立したらどうですか?」
「え、師匠を守るのがあたし達の仕事なのに!?」
「うん、師匠は一人だと危ない」
「いや、あなた達といる方が危険なんですが……」
定期的に襲われるなどたまったものではない――アリシアは小さく溜め息を吐きながらも、すぐに着替えを始める。
「まったく……あなた達のせいで遅れそうですよ。仕事だって色々溜まっているっていうのに――わあっ!?」
下着になったところで、不意に後ろから抱き着かれて思わず声を上げる。
振り返ると、リィルが腰の辺りに抱き着き、上目遣いのままに言う。
「……師匠、こんなところで脱ぐなんて誘ってる?」
「誘ってないです! 着替えているだけなので!」
「そんなこと言ってさぁ……あたし達が師匠のこと好きだって分かっててやってるんでしょ?」
そう言って、今後はレーノがアリシアの手を掴む。
「ちょ……二人して何ですか!? もう発情の処理は終わったんですよね!?」
「師匠の裸を見てたら、またムラムラしてきちゃって」
「師匠、可愛い」
「裸というかまだ下着ですけど!? しかもムラムラしてきたって……この変態――ひゃあっ!?」
今度は甲高い声を上げてしまう。
二人して、アリシアの白い肌を小さな舌で舐め始めたのだ。
「な、何を……!」
「大丈夫、これはあくまで毛づくろいだから。スキンシップみたいなもんだよ」
「そう、別に他意はない」
「毛づくろいって、私に毛は生えてません……! ちょ、やめなさ――んっ」
さすがに身体を舐められると不快感がある――と思いきや、アリシアは頬を朱色に染めて、満更でもない表情を見せた。
「師匠も観念して、そろそろあたし達と気持ちいいことしようよ?」
「痛くしないから大丈夫」
「……そういう問題じゃなくて、今日は仕事があるって言って――あっ」
――発情の処理を終えたはずの変態は、アリシアの裸を見て再び興奮状態になってしまった。
結局、しばらく身体を舐め回された後に、アリシアは怒ってまた拳を振り下ろすことになり、その勢いのままに部屋を出て恥をかくことになった。
――気まぐれで拾った獣人から、いつまで貞操を守り切ることができるのか、アリシアの悩みは尽きない。
エルフですが、気まぐれに拾った双子の獣人娘に貞操を狙われています 笹塔五郎 @sasacibe
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