第9話

 次に習得を目指すのは時空間魔法だ。これも異世界系だと割と定番なのでイメージはできるが消費魔力が多いイメージもあるため今まで避けてきた。だがいざってときにアイテムボックスがないと不便だから早めに覚えておこうということだ。できるだけデカくしようとしたけど途中でやめた。魔力半分注ぎ込んでも余裕あるんだもん。

 雷魔法なんかの4属性以外の魔法もやってみる予定だったので他のを優先する。

 まずは雷魔法。バチバチいって面白い。これは纏うと光魔法ほどではないが速度上昇の効果がある。

 次に氷魔法。これは魔力を込めるほど固くなり、溶けるまでの時間も長くなった。けど固さ、大きさ、溶けるまでの時間は調節が可能だ。

 まぁこの調節や威力だけを強くするのはどの魔法でもできるがな。

 続いて樹木魔法。魔力を入れると範囲と成長スピードが変わる。育てたい植物さえあれば何期作でもできる。食料事情が一変するな。

 その次は影魔法。よく影と影を移動する隠密性が高い魔法だ。近くにみえる木の影に自分の影からワープする。イメージは…ワープだな。いい例えが思い浮かばなかった。次は家の裏だ。みえないところにワープできるかの検証だな。お、できた。影ならどこでもいけるのか。じゃあ今度は木の影にワープしてみる。無理だった。具体的にどこかがわからないとワープできないのか。多分この仕様は時空間魔法も同じだろう。



 次は形だ。ランスにバレット、カッター、アロー、ストーム、ウォール、思いつく形に次々と各属性をつくり変えていく。

 次はエンチャントだ。すでに重力魔法を纏っているがそれに重ねるように各属性を纏っていく。

 火、水、風、土、光、闇、雷、氷、樹木、影、時空間そして重力、合計十二の魔法を重ね着する。魔力がどんどん減っていく。光魔法も回復を頑張っているが、闇魔法がそれを上回っている。これはあと1分半ぐらいで魔力切れになるぞ。でもその前にチカチカして目が痛いので見た目を透明化してみやすくする。

 よし、ここは庭だし夕方でそろそろみんな帰ってくるし、最後に撃ってみるか。魔法名なににしよう。いやいや、こんなこと考えてるうちに時間切れになるぞ。

「えい」

 結局いい技名が思いつかずダサい技名をいうくらいなら、と掛け声だけで魔法を撃った。もし、威力が大きくても森に撃ったので大した被害はないだろう。それじゃあ、夕食までおやすみなさい。

 ガクッ







「おい、ソウ何があった」

 怒っているようにも不安そうにもみえる顔の父さんが視界いっぱいに広がっている。

「俺が使える属性魔法全部を一緒に撃った。」

「はぁ、心配したぞ。魔法の実験をするなとは言わんがせめて倒れないでくれ。」

「それはそう」

「じゃあこれからはしないようにな」

 子供の失敗に寛容な親で助かる。

 こういうのでいちいち否定から入る親が多いから日本人は内気なやつが多いんだよ。

 自分がしたことある失敗をさせたくないのはわかるけど子供は正誤じゃなくて納得のいくいかないだから自由にのびのびさせた方が教育的にもいいんだよな。

 まぁ俺はまだ高校1年で子育てなんてやったことないから偉そうにいえないんだけどね。

「にしてもどんな魔法だ?こんなに綺麗にくり抜いて。土魔法、いやここまで精密だと大地魔法か?」

 ほうほう。どうやら属性魔法には上位互換あるらしい。これはまた夢が広がりますなぁ。いやいや、まずは被害確認だ。

 なるほど、確かに綺麗に半球にくり抜かれている。まぁ原因はおそらく時空間魔法だろう。時空とか時間とかはもっと中盤ででてくるイメージだったけど現実そう上手くはいかないってことか。

 でも自分が使えるのなら早めの方がいいか。


 次の日、早めに起きたので魔力と闘気を循環させながら重力と闇と火と水を重ね着して、一階の食卓に行く。とリーシャと母さんに驚かれた。俺の服を見ていたので俺も視線を服にやると火と水がみえたままだった。ヤバいと思って咄嗟にみえなくさせるも更に驚かれるだけだった。


 朝食後、みんなの前で纏っている魔法を可視化したらやっぱり驚かれた。これを説明するとき魔纏といって魔力や魔法を纏う技術だと言った。

 だが、どうやらこの技術自体は既存の物らしく、次を急かすような目で見られた。

「みんなは逆に何に驚いてるの?これは珍しくないんでしょ?」

「あぁ、確かに魔纏自体は珍しくない一般的な技術だ。だがお前はそれを誰にも教えられずに自力でみつけた。これはすごいことだ。」

「えぇそうよ。やっぱりソウは天才だわ。」

 なるほど。自力でみつけたことがダメだったのか。

「心配しなくても怒ったりしないさ。ソウはこれまで通り元気に生きてればそれでいい。」

「じゃあこの機会にステラとジュリーナにも魔纏を教えておきましょうか。」


 この世界の人間には必ず魔力と闘気がある。ただし、魔法が使えるほどの魔力と闘技が使えるほどの闘気を併せ持つ、ましては使いこなす人間は今までいなかった。

 多分魔力量も闘気量も伸ばせる限界値があってそこまで届かない人は使えないのだろう。だからこの世界はあくまで魔法、闘技は補助で魔法士、戦士に専念するというスタンスなのだ。つまり魔法剣士がいないのだ。

 なんで急にこんな話しをしたかって?姉さんと兄さんは魔法と闘技をどちらも使えるからだ。努力すれば何でもできるチート持ちの俺はできて当然だが2人は本当に才能なのだろう。羨ましい。

「ついでにできること全部教えてくれよ。その方が安心できる。」

 父親としてそれでいいのか。まぁ俺が何しでかすかわからないところは同感だがな。

「いいよ。まずは闘気と魔力を体内で循環させる。次に魔法を纏う。」

 そういって俺は纏っている魔法がみえるようにしながらボールを出す。もちろん魔力切れになっては意味がないのでボールは小さめだ。

「ミックスボール」

 技名はミックス系にすることにした。いろんな属性が入っているからという安直な理由だが厨二病でイタいということはないだろう。

「込められた魔力はそんなに多くないけど属性が多いわね。それに今まで気にしていなかったけどソウ自身の魔力量も多いわ。」

 母さんに褒められるほど俺は成長していたのか。やはり、努力は裏切らない。

「あぁ、闘気の循環もなめらかで速い。それに魔法が使えるなんて、ホントにすごい。」

「いいなーソウ。私も魔法を上手く使えるようになりたーい。」

「僕は闘技が使える方が羨ましいですけどね。」

「お二人とも、充分才能はございます。あとは努力次第かと。」

 そうだ、そうだ。リーシャの言う通りだ。チート貰ってないのにどっちも使える時点で十分恵まれてるよ。姉さんたちは。
















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