立花先生の作品の特徴は、緻密な設定、スピード感、どんでん返し。
展開と論理のパンチをくらうイメージでした。
そこに、この作品を読んで……
これが立花先生の原点かぁ……と、感慨深く思いました。
男としての衛、美優に執着する理由、創作・業界への見識、美優の人格描写、精神病のある日常……
生々しくないのに、リアル。
どこを読んでも面白い。
美優の、天才と病的感性の境目。
それに護が寄り添いながら、徐々に二人の世界ができていく。
背景にあるものを書き切っているわけじゃないですが、”経験者”なら登場人物たちの苦悩、もどかしさを読み取れるでしょう。
立花先生が、いつもたくさんの書き手をレビューで励ましている理由もわかった気がします。
私の心の中の本棚、『人間』のジャンルにしまわせていただきます。