薄いカーディガンをお試しあれ。
鈴ノ木 鈴ノ子
タイトル通り、以上!
今年もまた夏がやってきた。
人々の視線が彼方へ此方へと不審にフラフラとするのである。
肌の露出の大きくなる季節は、大変にふしだらで、ある意味ではいやらしく、ある意味では魅力的な、ある意味での努力と、意味での根性がなければ、耐えられぬ季節でもある。
さて、まあ、フラフラとしている巷の視線はほったらかしにしておくとして、見せつけたい相手がいることも確かである。
きちんと話をし心許せて通い合わせる関係が成り立っていたとしても、横から突然に現れた奴が根こそぎ奪ってゆくこともあるのが夏なのである。
かく言う私もそのような経験を……、したかもしれないし、しなかったかもしれない。これは沽券に関わるので話はしないが、苦い経験程度ならある。
さて、恥ずかしくはない程度に、色香のようなものを見せつけたいなと考えているあなたに私からアドバイスを一つ。
手のひらがほどよく透けるくらいの薄手のロングカーディガンをお勧めする。
エビデンスはない、サンプルデータすらない、ただの私の独断と偏見に基づいてであるが、素肌を見せるより、薄い布を1枚かけるだけで相手の視線は変わるのである。汗で張り付くこともあるが、それもまた宜しいらしい、まるで一枚のベールのような布には魔法がかかる。
もちろん、誰に対しても来ているのではないことも、アピールポイントである。あなた以外にあまり見せたくないからと、慎ましやかなことを口にすれば喜ばない人はいない。
薄いカーディガンは味方である。
普段着に合わせれば慎ましやかに、親密な時に合わせれば妖艶に。年齢を重ねても、その一枚の効果は絶大であることを書き添えておく。
用法と限度を守って、良い恋の夏を、良い新婚の夏を、良い婚姻の夏を、お過ごし下さい。
※微妙な場合にはおやめ下さい。
薄いカーディガンをお試しあれ。 鈴ノ木 鈴ノ子 @suzunokisuzunoki
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