ステップ10 これで、ハッピーエンドね♡

(部活終了。下校のチャイム)


「そろそろ」


「下校時刻になるのって、こんなに早いのね」


「あなたをひとりで部室で待っているときは、永遠に続くものかと思っていたけれど」


「……そんな顔、しないの」


「まあ、多少は罪悪感を感じろとは思っているけれど」


「もうお互い、水に流しましょう」


「……だって、もうわたしたち、両思い同士なんでしょう?」


「……すきな相手に催眠術をかけていいのかって?」


「このわたしが、すきなんでしょう?」


「常識でものを語らないでほしいわね」


「……またわたしを置いてけぼりにしたら、次はどんな催眠術が待っているのかしらね~」


「……冗談よ」


「そんなことよりも、ほら。もう、帰りましょう」


「下校時刻がすぎたら、先生たちの見回りが来ちゃうわ」


「あなたに催眠術をかけているのがバレたら、はずかしいじゃない」


「……怒られると思う?」


「……かなり?」


「催眠術が使える女子高生って、すごいと思わない?」


「だって、催眠術を使ったら、あなたの本心がわかっちゃったのよ」


「とっても、すごいちからよ」


「あっ。あなた、昨日はわたしの催眠術にかかっていなかったんだっけ」


「あんなにたくさん勉強したのに、ちっともかかっていなかったなんて……原因はなにかしら?」


「えっ。……さっきもかかってなかったって?」


「……うそでしょ!」


「……待って?」


「それじゃあ、さっきのチューは?」


「わたしのこと、すきですきで、たまらくなってしたんじゃないの?」


「……本当に催眠術、かかってなかったの?」


「……シラフ?」


「うそでしょ」


「ばっ、ばかっっっっ」


「もう知らないっ」


「……いっしょに帰らないのかって……」


「……帰るけど」


「……明日、この部室に来ても、もうわたしひとりじゃないわよね」


「あなたが、来てくれるのよね……」


「あなたとの大切な時間が、この部室にはあるから……」


「ぜったいに失いたくなかったの」


「でも、もうひとりじゃない」


「だからもう、催眠術なんていらないのかもしれないわね」


「……たまにはかけてほしい?」


「ふふ。フリのだったくせに、気持ちよさそうにかかっていたものね〜?」


「ヤミツキになっちゃった〜?」


「今度こそ、最高の催眠術をかけて、絶頂させてあげる」


「わたしのこと、ちゃあんと見てなさいよ。後輩くん♡」




 おしまい

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部活の先輩が「さあ、すべてを白状しなさいっ?」と俺に催眠術をかけてくる!【ASMR】 中靍 水雲|なかつる もずく @iwashiwaiwai

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