第3話 木でした。

思えばこの世界に転生したのは何年前だろう。


何年って次元では無いはずだ。


初めは動物たちが話し相手となってくれた。


退屈はしない生活だった。


動けないけど。 


私は木に生まれ変わっていた。


生前、多忙な生活で落ち着いた生活をしたいと思いながら過労で倒れた。



落ち着き過ぎた・・・


もはや拷問でしかない。


意識だけがあって、動けない。


まさに植物状態だ。




その後また月日が経って、人がやってきてた。


俺の周りに村村ができてきては、それは楽しい毎日だった。


いつからか、私は成長して御神木と崇められ

俺の周りで月に一度はお祭りが開かれた。



発展しては潰れて、発展しては潰れて

何10回と村の成長と敗退を見てきただろうか。



人は滅ぶも俺は成長し続ける。



成長して身体のどの部分にでも視点を移動する能力が身についた。



今や、この世界の遥か遠くまで見渡すことができる。


まだ動けないけど。



それからまた、月日はどのくらいだったのか。


やがて、争いが起きた。


比較的平和だったらこの世界に

異形なものたちが空から降り立ちた。



遠くに見える町から煙が昇るのが見えた。


しばらく経って、私の元の村村にも攻め立ててきた。


絶望した。 




村は焼かれて、住民たちは残酷に殺されていった。


いっその事、俺の事も殺してくれと願った。



しかし、異形の者たちは俺には触れられなかった。


俺に触れた異形の者は、触れた瞬間体が消滅したのだ。


そんな事はどうでもよかった。


1人は嫌だ。 


自死することもできない。


私以外の周辺の物は、全てが焼き払われていた。


 私から見える世界の部分全てが




破壊するものが無くなったのか、飽きたのか、何時しか異形の者はいなくなっていた。




それからまた時を超えて、人々が私の元にやってきた。 


遥か遠くから、私の知らない世界から


生き残りがいたのだろう。


彼らは私に世界樹と名付けた。


そして、私の根元で村を作り、それが街になり、また私の見える世界は発展していった。


私はこれからも、生き続ける。


この世界が終わるまで








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転生したら〇〇でした乙 紅○慧 @SACD28

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