第16話 質問
長い長い夜が明け、俺が朝目覚めた時には予約投稿をしていた葉月ちゃんに関する投稿がされていた。
まだ投稿されて30分経ったくらいだと言うのに、いいね件数は2000を超えている。
俺も大物になったものだ。
優芽の投稿をし始めてからというもの、俺のフォロワー数は爆増した。
おかげで投稿すれば、多くのいいね、コメントが寄せられてきて俺は送られてきたコメントを読んで楽しむことが日課となってきている。
そうだ、今回の投稿にはどんなコメントが返されてきているのだろう。
『結城先生、葉月ちゃんに浮気?笑』
浮気なわけないだろうが。俺は優芽一筋だと言うのに。コメ主は俺が毎日優芽のことを語っていたことを知らないのだろうか。
優芽が第1。叶ちゃんと葉月ちゃんのことももちろん応援しているが、どちらか偏って応援しているわけでない。
どちらにも平等に愛情を注いでいるつもりだ。我ながら言っていて気持ち悪いが。
『葉月ちゃん、俺も好きー。結城先生とおかげでシャーベットと出会えたからみんな好きなんだよねー』
こういうコメントは見ていて非常に気持ちがホンワカとする。温かい気持ちになると言えようか。
コメ主が何を考えながらこの文章を打っているのか手に取るように分かるのだ。
正直、アイドルに優劣は付け難い、と俺は思っている。
あくまで俺の意見だが、アイドルはそのグループから1人でも欠けてしまったら成り立たないと考える。
仮にシャーベットからメンバーが1人脱退したとしよう。
今はみな、優芽や叶ちゃんにベッタリだが葉月ちゃんがいなくなった場合を想像して見てほしい。
想像なんてしたくもないが、シミュレーションのためだ。俺は仕方なく頭の中に思い浮かべる。
ステージ上に優芽と叶ちゃんの2人だけ。
まず2人というのがアンバランス。減点ポイント。
俺は葉月ちゃんに注目してみてわかったことがある。
葉月ちゃんは叶ちゃんや優芽と比べてあまり歌が得意ではないという。と言ってもプロレベルではあるのだが。
メインボーカルは叶ちゃんと優芽が務めている。
一見すれば、その2人の声だけで歌が成り立っていると勘違いしてしまうだろう。
だから俺はまず、彼女らの歌にしっかりと耳を傾けて欲しいのだ。
そうすれば自然と、不思議と幻想的な声が聞こえてくるではないか。これが葉月ちゃんの役割。
メインボーカルの2人を支える一家の大黒柱と言っても過言では無い、葉月ちゃんのサポートがあってからこそシャーベットの歌は歌として成り立っている。
今回の投稿は、昨日葉月ちゃんから得た情報はあまり使っていない。
もちろん昨日聞いた全ての話は、頭の本棚の中に、言うまでもなくメモもとってある。
この彼女のサポートに気づいたのは、俺だけであろうか。
いや、きっと同じような人がいるはずだ。
『まるで本人にあったかのような口ぶりで草』
俺はこのコメントを読んだ瞬間、背筋がゾワッとする感覚が俺を襲った。
実際に俺は葉月ちゃんとタイマンでインタビューを行わさせて貰った。
実に有意義な時間だったと、日を跨いでも心の奥底が叫んでいる。
みんながみんな人気になったら俺は一体どうしようか。
俺の事を嫌っている人気アイドルな義妹のことを陰ながらずっと褒め続けた結果、いつの間にか夜這いされていた件 ミナトノソラ @kaerubo3452
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺の事を嫌っている人気アイドルな義妹のことを陰ながらずっと褒め続けた結果、いつの間にか夜這いされていた件の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます