真夏の夜
それはとても暑い日だった。
時も場所も構わずにセミが鳴き続ける夜、一人の少年は自分の幽閉されている公園の中から、あぜ道を歩く少女を見かけた。
少女と言っても、少年よりもずっと年上で、少年からするとずいぶんと大人に見えた。
少女は俯きながら、灯りのひとつもないあぜ道を歩く。少女はあぜ道を通り過ぎると、そのままどこかに歩いて行った。
少年はベンチに寝転びながら、その風景を眺めていた。
翌日、少女はほとんど同じ時間にそのあぜ道を通りかかった。
少年は結界を一時的に緩め、少女を公園へと誘い込んだ。
少年は首を傾げた、自分が何をしたのかもわからないというふうに。
今思い返してみると、その理由もわかる。
きっと、一人があまりにも寂しかったから。
誰でもいいから、話し相手が欲しかったのだろう。
First star 空式 @abcdefddd
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