エピローグ

 すう、すう、娘は、大人しく、可愛らしい寝顔をしています。やはりこの話は、娘にはまだ早いのでしょう。終わりまで聞く前に、いつも寝てしまうのです。だからこそ、続きが気になって、こうして毎晩お話しているのだとも、思うのですが。

 きっと、娘がもう少し大きくなって、このお話を、最後まで聞けるようになった時には、その先にある、とっても単純で、現実的な、このお話の真相を話すことになるのでしょう。しかし、その時までは、このくらいファンタジーな方が、娘も喜ぶでしょうし、あえて言うことはしないのです。しょうもない現実や真実なんかは、言わない方が、面白かったりするのですから。


 さて、娘の寝顔を見ていると、私も眠くなってきました。スイッチを押して、ぼんやりと光っていた蛍光灯を消し、私は目を瞑ります。意識は、ぎゅっ、と抱いている娘へと向いて、胸が、とっても暖かいです。


 きっと、みんな、私の心の中で、元気にしていることでしょう。


 温もりの中、自然と笑顔になって、ゆっくりと、眠りに落ちるのです。

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てんし キャニオン @harup39

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