第13話―2

 結局、彼女は見つかったかって?


 聞かなくてもわかるだろそんなこと。だって俺は俺になって、雨はどっかに消えた。


 まあ、だからと言って特に俺の人生が変わったとかそういうことはないんだけど。結局いつかは成長しなきゃいけない。そのタイミングがちょっと変わっただけ。その点では、聞かなくてもわかるだなんて言ったのはおかしかったかもな。悪い。


 え? やっぱり彼女はなにか変えたんじゃないか? うーん、なにいつもよりもも変えなかったと思っているって言われたら嘘になるけど、そんな大したものじゃない。せいぜい、あの日の神社がいつもより神秘的に見えたってくらいだよ。


 そうだ、そろそろ言おうと思ってたんだ。そろそろお前も大人になった方がいい、いつか変わるときに負う傷が小さくても済むように。


 なぜ泣いてるの? いや、別に俺は泣いてなんか——




 そうだな、これはただの雨。結局のところ、ようやく彼女に再び出会えたってわけ。もう、遅いんだけどな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あの夏、君の色が変わった日 ナナシリア @nanasi20090127

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ