第8話 時をかけるアイリス(エピローグ)

//SE 再び空中戦の音


「さあ、あと3機です! もうすぐアイリスさんに会えます。頑張ってください」


「そうそう、随分うまくなりましたね。両手で操作してますものね」


「え、マイクロミサイルを使います? それは脇腹を下にスライドすれば発射セットできますが」


「んん、そう。 くすぐったい。もう一発出すようでしたら右もお願いします」


「はあ。 お、オーケーです。おなかをさっとなでれば発射となります、どうぞ」


「あん。 あ、失礼。行きました。命中します!」


//SE 爆発音2回


「よし2機落としましたよ。あと1機です!」


「手強いですよ。敵のエースです」


「来ました、回避お願いします! そうです。左ももと右腕で左に急旋回してください」


「あっ、あっ、手を滑らせないで! いやっ、そこ違います~!」


「逃げてください、全速力。雲の中へ」


「はい、少し引き離すことができました」


//SE 雷の音


「キャッ、ここ大気が不安定です~」


「乱気流が来ます、揺れます」


「失速しました! ちょっと、体を支えててくれますか? 座席から飛んじゃいます」


「あー胸はだめです! いえ、仕方ありません~(泣)。がっちり抱いてくださいー」


「はーっ、何とか切り抜けられました」


「あの、いつまで私の胸を抑えつけているんでしょうか? もう大丈夫なんですけど」


「もう、どさくさに紛れないでくだ…… あっ! 後ろを見てください、敵機につかれました、とてもまずいです」


//SE 電子警告音


「だめです。やられます。自爆装置と脱出装置を」


//SE 脱出装置が働くバシュっという音


//SE 爆発音が2回


(パラシュートで二人が降下中)

「やりました。敵機も一緒に爆発したようです!」


「間一髪でしたが何とかミッション成功しましたね」


(きれいな空と大地が空から見渡せる)

「きれいな風景ですね」


「あなたとはお別れになると思います。これで過去に、エーデルワイスに行けますね」


「アイリスさんにお会いましたら伝えてください。あなたの子孫が私を作りましたって」


「短い間でしたけど楽しかったです」


「え、私が人間みたいですって?」


「ありがとうございます。私もなぜかあなたのことが好きになってしまいました」


「変なアンドロイドですね。私」  



 ◇ ◇ ◇



―― 300年前、エーデルワイス ――


//SE 小鳥のさえずる音


(湖のほとりを歩く二人)

「そう。その未来のアンドロイドはそんな事を言ったの?」


「その子は可愛かった?」


「へえ、私に似てるんだ」


「え、声まで? 驚きね」


「私の写真や音声を子孫に残すようにそのアンドロイドが言ったの?」


「ふーん、私の子孫がそのアンドロイドを作るんだ」


「ところでこの時代に写真や録音機ってあったっけ?」


「微妙だね。ま、いっか」


「それにしても、あなたは女神に凄いところに転送されたのね」


「あ、そこのベンチに座りましょうよ」


//SE 微風の音


「今日はいい天気だよね」


「私達の愛娘は後でおばあちゃんがここに連れて来るよ。よちよち歩いてね」


「あの子は200年後の日本で生まれて、この西欧の美しい村で育つのよ」


「この湖はいつも美しいね」


「私も好き。心が落ち着くよね」


「あなたが隣にいる……」


(肩を抱かれる)

「暖かい」


「あなたの匂いがかすかにする」


「私の髪の匂いも懐かしいって?」


「日本での生活を思い出すね」


「そう、1年間。楽しかった」


「うん、でもここが私達の故郷だもんね、大切な場所」


「戦争も終わって、平和に暮らせるよね」


「キスして」


(しばらく間)


「ねえ、見て 私達の天使がおばあちゃんと歩いてきたよ」


「ヨチヨチ歩きが可愛いよね」


「ねえ、あの子に弟ができたらいいと思わない? 妹でもいいけど」


「そう、あの子がお姉ちゃんになるの」


「え、さらにもう一人追加して3人がいい? まあ」


「子供を産むのはたいへんなんだからね」


「あなたがしっかり働かないといけないのよ」


(娘に向かって叫ぶ)

「おいでー! パパもいるよ~」


「くすっ 可愛い笑顔だね」


「さあ、迎えに行きましょう」


「女神様、ありがとうございました。 お陰様で、私達幸せです」



  

  ―― 了 ―― 

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時をかけるアイリス 🌳三杉令 @misugi2023

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