お祭り
広川 海未
あぁ
夏。祭りの季節である。
僕は久しぶりに帰省した。
「ちょっとせっかく帰って来てるんだから夏祭りにでも行ってきなさい」
母が言ってきた。外は気温38度。暑いから行きたくないと自分は言ったが夕方からだと言われて僕はしぶしぶ行くことにした。
「いらっしゃい!焼きそばどう?お兄ちゃん!」
「お好み焼きーお好み焼きはいかがっすかー!」
道路脇に並んだ屋台から兄ちゃん達が声をかけてきた。1つ買ったがその値段に驚いた。1つ600~800円するのだ。安くない値段だ。しかも味も特別おいしくはない。こんなのなら自分で作った方がましだとさえ感じた。祭りの雰囲気も良かったがなんとなく昔とは違う。そう、つまらないのだ。9時頃、花火が始まった。小さいのがポンポンと上がるだけ。あっという間に花火は終わってしまった。周りのカップルや家族連れはきれいだねと言っていたが僕はしょぼい、つまらないと思った。
「帰るか」
ボソッと呟き歩き始めた。人混みを抜け、しばらくすると僕の前を歩いていた少年が隣にいた彼の祖母と話をしていた
「ばあば、お祭り楽しかったね!」
「そうだねぇ」
そんな会話が聞こえて来た。そこで僕は気づいた。
あぁ、つまらないのは自分だったのかと…
お祭り 広川 海未 @umihirokawa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます