第4話

王都に入ってから、護衛の人たちと馬車の御者と分かれて今は三人になっていた。


「ここが王都······」


今は城下を歩きながら周りの建物を見物している最中で、人の多さに驚嘆している。


「まあ、大陸一番の国だからな、迷子になるなよ?」

「はい、お父様!」

「わかりました」


それにしても、随分と賑わっているな。目が回りそうだ。

そんなことを考えていると、不意に誰かから手を握られた。


「ルナ姉さん?」

「はぐれたら大変よ?一緒に歩きましょう」

「·····分かったよ」


僕的にもルナが一番迷子になる確率が高いからこれも別にいいか。

そして、手を繋いだまま少しの間歩いていくと、中央にあった城にいつしか着いていた。


「父さん。儀式はここでやるんですか?」

「ああ、毎年城内でやるんんだ。たまに各国の貴賓たちも来たりするんだぞ」

「へぇ」


そんな話を聞いたが、実のところ僕は実質いない人扱いになるであろうから、別に気にしていない


そして、やっとスキルの儀の会場である城のホールについた。

ホールの貴族たちは綺羅びやかな衣装に身を包み、壁際に立ち並んでいる。

そして、今回の儀式を受けるであろう子供が総勢六十名ほどいる。

 ホールの中心には、誰一人立ってもおらずドーナツ状に人がひしめき合っていた。


やっぱりこういう仰々しいものは嫌いだな。息が詰まりそうだ。

しばらくの間、貴族たちは談笑に明け暮れていたが、一人の壮年の男が壇上に立った瞬間に静まり返った。


「······まじかぁ」


隣から声が聞こえた。父さんだ。なにかあったのか?

そこから、ヒソヒソと何年ぶりだ?とか、戦々恐々している声で噤む声が聞こえてくる



「国王陛下のお言葉ですっ!!」



「皆、今日はよくぞ集まってくれた。面識がない方々に自己紹介をしよう。私はここウィンブルグ王都の国王である。名など単なる記号に過ぎん。好きなように呼ぶがよい」


一通りスピーチを終えた国王のあとに続き、どこからともなく喝采が聞こえてくる。


「光栄なことにに此度こたびは国王陛下が観閲かんえつされる。皆、忠義を示す機会を得たと思え」


国王の左にいる大臣と思われる人からの掛け声と共に貴族たちに拍手がわき起こる


「今年は我が息子も儀式に臨む。親として、貴族として責務を果たせる事を嬉しく思う。皆、一様に同じ気持ちで有ることを願う」


なるほど、だいたいわかった。何年ぶりだとか、我が娘とかの単語を基盤に想像すれば、

通常は国王なんか来ないが、今年に限って息子も儀式に参加するから親としてみたいと思って来ちゃったのだろう。


「ルナ姉さん。大丈夫?なんか国王様の御子息が来てるんだって」

「うぅ、緊張するわ······。アウ君がいってきますのハグしてくれたならなぁ······」

「いや、やんないよ?」

「な、なんでぇ·····」


思わず涙目になってしまうルナ。優秀な人なのにこういうところが残念というかなんというか


「お前ら、本当に仲いいな?親としては嬉しいが····」


そんな僕らにジト目を送ってくる。


「はぁ、·····ん」


このままでは儀式に支障をきたすと思い、妥協案として頭をなでた。


「姉さん。まあ、頑張れ」

「うん!」


そして、結局突進する勢いでハグされた。

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動物好きの転生者。平穏を目指す @usayu

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