14章 - 秘境の温泉宿でドキドキ!?

 待ちに待ったゴールデンウイーク!

 キサラ、ミナミ、タクミの三人は、キサラの提案で秘境の温泉宿へと向かっていた。

 新緑に包まれた山道を、女の子のキサラの明るい歌声が響く。


「♪山の中の 温泉宿 みんなで行こう 楽しいな~♪」


 タクミが思わず笑みを浮かべる。


「相変わらず即興で歌作れるんだな、キサラ」

「えへへ、なんとなく浮かんじゃったの♪」


 キサラは照れくさそうに、嬉しそうにほっぺたをかく。


 ミナミが不思議そうに尋ねる。


「でもキサラ、おじさんとおばさんって海外にいるんじゃなかったの?」

「うん、そうだよ。でも温泉宿も別に経営してるんだって」


 キサラは屈託なく答える。

 タクミが首をかしげる。


「……キサラのおじさんとおばさんって何の仕事してるの?」

「知らない~♪」


 キサラは無邪気に笑う。

 ミナミとタクミは顔を見合わせ、心の中でつぶやく。


(本当に何してるんだろう……)


 山道を抜けると、突如として現れた豪華な温泉宿。三人は思わず目を見開いた。


「わぁ! すごい!」


 キサラが目を輝かせる。

 玄関で出迎える従業員一同。その先頭に立っていた番頭さんが驚きの言葉を告げる。


「キサラ様、本日はあなた方だけの貸し切りでございます」


「「えええっ!?」」


 ミナミとタクミが声を揃える。

((……本当にキサラとのおじさんとおばさんって何者なんだろう……大富豪……それとも石油王……?))


 豪華な部屋に案内された三人。

 キサラは大はしゃぎで部屋中を駆け回る。


「見て見て! ふかふかのお布団!」


 キサラがベッドに飛び込む。


「窓からの景色も最高だね」


 ミナミが感嘆の声を上げる。


 タクミは部屋の隅にあるテレビに目をつける。


「おっ、100円入れないと見れないテレビだ! 初めて見た!」


「卓球台もある!」


 キサラが発見する。


「レトロゲーム台まである! インベーダーゲームって初めて見た!」


 タクミが興奮気味に叫ぶ。


 三人は温泉宿ならではの楽しみに夢中になっていく。

 しばらくして、タクミがふと気づいたように言う。


「そういえばキサラ、最近あんまり性別ころころ変わらなくなってきたよな? なんで?」


 女の子の姿のままのキサラが首をかしげる。


「んー、最近判ったんだけど」

「なになに?」


 ミナミが興味津々で先を促す。


「ボク、前はドキドキしたら性別が変わると思ってたの」

「違うのか?」


 タクミが不思議そうに尋ねる。


「うん。本当は大切な人のことを大切に考えたときのドキドキで変わるみたいなんだ♪」


「「大切な人!?」」


 ミナミとタクミが思わず声を揃える。

 しばらく置いて、ミナミが少し緊張した様子で尋ねる。


「そ、そのた、大切な人って誰……なの?」

「んー……」


 キサラはしばらく考え込んだ後、にっこりと笑って答える。


「ないしょ!」

((こ、この小悪魔め~~~!))


 ミナミとタクミは内心で悶えまくるが、キサラはまったく気がつかない。


 三人はまず温泉宿の周りの自然を満喫することにした。

 山道を歩きながら、キサラが突然叫ぶ。


「あっ! リスさん発見!」


 木の枝にちょこんと座るリスを指さすキサラ。

 三人は息を潜めて近づく。


「かわいい~」


 ミナミがため息をつく。


「ほら、どんぐりあげようか?」


 タクミがポケットからどんぐりを取り出す。


「えっ、なんでタクミくんどんぐり持ってるの?」


 キサラが不思議そうに尋ねる。


「ああ、さっき拾っておいたんだ。こういう時のために」

「さすがタクミ、準備がいいわね!」


 ミナミが感心する。


 キサラがそっとどんぐりを差し出すと、リスが慎重に近づいてきて、チョイチョイっと手に取った。


「わぁ!食べてくれた!」


 キサラが目を輝かせる。

 その後、三人は山奥の小さな滝を見つけた。


「きれい……」


 ミナミがうっとりと眺める。


「ねえねえみんな、滝行しようよ!」


 キサラが突然言い出す。


「「えええっ!?」」


 ミナミとタクミが驚く。


「だめだよ、キサラ。危ないよ」


 タクミが諭す。


「そうよ。それに着替えも持ってないし」


 ミナミも同意する。


「えー、つまんないなー」


 キサラが拗ねたように言う。


(……でも濡れ透けのキサラはちょっと見たいかも……)


 一瞬邪な想いがよぎったタクミを、ミナミが鋭く察し睨みつける・


「な、なんだよ、ミナミ!」

「はあ~、これだから男って……」


 しかし、キサラはかまわず、すぐに「あ! 洞窟だー!」と叫んで、近くの洞窟に駆け出していく。


「おい、キサラ!」


 タクミが慌てて追いかける。

 洞窟の中は涼しく、少し薄暗い。


「わー、エコーが響くよ!」


 キサラが声を上げる。


「キサラ、あまり奥に行っちゃだめだよ」


ミナミが心配そうに言う。


「大丈夫だよ。ほら、こんなところに鍾乳石が!」


 三人は洞窟探検を楽しんだ後、小川でひと休み。清流のせせらぎを聞きながら、持参したおにぎりを頬張る。


「自然の中で食べるおにぎりって格別だね」


 タクミが満足そうに言う。


「うん! おいしい!」


 キサラが頬を膨らませながら答える。


 三人は山道を歩きながら、自然を満喫していました。突然、キサラが叫びます。


「あ! あそこに野イチゴがある!」


 キサラは茂みに駆け寄り、真っ赤に熟した野イチゴを摘み始めます。


「わぁ、本当だ!」


 ミナミも興味津々で近づきます。

 タクミは少し心配そうに言います。


「大丈夫か? 毒とかじゃないよな?」

「大丈夫だよ。ほら、こんな形のやつは食べられるんだ」

「へ~、詳しいな、キサラ」


 三人で野イチゴを摘んで食べ始めると、その甘酸っぱい味に顔をほころばせます。


「おいしい!」


 ミナミが感激した様子で言います。


「自然の味だな」


 タクミも満足そうです。

 キサラは突然、タクミの頬に野イチゴの汁を塗りつけます。


「タクミくん、ミナミちゃん、ほら! かわいいでしょ!」


「おい!」


 タクミは慌てて拭おうとしますが、キサラとミナミは大笑いします。


 そのまま三人は、野イチゴの汁で顔に絵を描き合い、歓声を上げながら楽しみます。自然の中で無邪気に遊ぶ姿は、まるで子供に戻ったかのようでした。


 その後、小川に差し掛かると、キサラが提案します。


「ねえ、水切りしようよ!」


 三人は平たい石を探し、川面に向かって投げ始めます。


「えいっ!」


 キサラの石は3回跳ねました。


「やるじゃん」


 タクミが感心します。

 ミナミは慎重に狙いを定め、投げます。


「あ! 4回跳ねた!」

「さすがミナミちゃん!」


 キサラが楽し気に拍手します。

 タクミは意気込んで石を投げますが、すぐに沈んでしまいます。


「あー、だめだ」


 キサラとミナミは優しく励まします。


「次は上手くいくよ!」


 こうして三人は、自然の中で童心に返って遊び、笑い合いながら、楽しい時間を過ごしていきました。


 ミナミがふと空を見上げる。


「そろそろ戻ろうか」


 宿に戻った三人は、早速温泉に向かう。


「ボクは今日女の子だからミナミちゃんと入るね! いいよね、ミナミちゃん!」

「う、うん……」


 キサラがミナミに抱きつく。

 ミナミは少し赤くなりながらも、嬉しそうな表情を浮かべる。

 一方、タクミは一人で大浴場の男湯に入る。


「おー、すげー!」


 思わず声が出る。


 広々とした浴場に、様々な種類のお風呂。

 温泉はもちろん、ジェット風呂、炭酸風呂、電気風呂、にごり湯風呂、滝湯まである。


「俺、こんな贅沢していいのかな……」と言いながらも、ゆっくりと温泉に浸かるタクミ。


 すると、隣の女湯からミナミとキサラの声が聞こえてくる。


「うわー、すごい!ミナミちゃんお肌すべすべ!」

「何言ってるのよ、キサラの方がすべすべじゃない」


 二人の楽しそうな声に、タクミは思わず聞き耳を立ててしまう。


「あっ、キサラ、おっぱいの下、ちょっと赤くなってるじゃない!?」

「うん、そーなんだ。最近おっぱいの下に汗かいちゃってちょっと荒れちゃうの」

「だめよキサラ、ちゃんとスキンケアしてあげないと!」


 タクミは思わず「お、おっぱい!?」と興奮してしまう。


 女湯では、キサラとミナミが楽しそうにおしゃべりを続けていた。


「ねえねえ、ミナミちゃん。お湯に浸かると、おっぱいが浮くの面白いよね」

「もう、キサラったら…でも確かに不思議な感じするわよね(まあ、あたしはキサラみたいにおっきくないからそんなに浮かないけどね!)」

「ミナミちゃんのおっぱい、きれいだよ。触ってもいい?」

「えっ!? ちょ、ちょっとキサラ!」

「えへへ、冗談だよ♪ あ、ミナミちゃんの背中もすごくスベスベしてる!」

「そう? キサラのほうこそスベスベじゃない。ね、ちょっと背中流してあげようか?」「わーい、ありがとう!」


(うぅ……女湯から天使たちの天上の会話が声が聞こえてくる…)


「あん♪ ミナミちゃんの手、気持ちいい~」

(!? な、なんだキサラその色っぽい声は!)


 タクミは思わず耳をダンボにしてしまう。

 

「キサラの肌、本当にすべすべね。羨ましいわ」

(ぐぬぬ…想像しちゃう……いかん、いかん!)


 タクミは湯船の中でぶんぶんと頭を振るが雑念は振り払えない。


「ねえミナミちゃん、最近ボク、お尻の形とかも気になるんだけど…」

(お、おしり!?)

「えー、どこ? 何が気になるの? 綺麗なお尻じゃないー」


 タクミは我慢できず、湯船を出て女湯の方に近づき、ついつい耳を澄ませてしまいます。

 しかし、足を滑らせて「ドボン!」と大きな音を立ててしまいました。


「「今の音、なに?」」

(しまった!)


「タクミ、どうかしたの?」

「な、なんでもない!」


 ミナミの問いかけにあわてて否定を返すタクミ。


 こうして、タクミは赤面しながら、ぶくぶくと湯に顔を半分つけて隠れるのでした。

「いーなー、女湯は楽しそうで……」とつぶやいたその時。


「タクミくーん、お待たせ! ごめんねー、さみしかったでしょー?」


 キサラが突然男湯に入ってきた。もちろん全裸だ。

 タクミの頭がショートする。


「キ、キサラ、さすがにそれはまずいって!」


 タクミは慌てふためく。


「? ボク今、男の子だよ?」


 キサラが首をかしげる。

 湯煙でよく見えなかったが、確かにキサラはちゃんと男の子だった。


「あ、ほんとだ……」


 タクミは安心すると同時に、少しがっかりしてしまう。

 なんだろう、この複雑な感情……。


 そのあとキサラとタクミは様々なお風呂を楽しんだ。

 まるで子供のように、はしゃぎ回る二人。


「よーし、キサラ! 今度はサウナ入ってみようぜー!」


 タクミが提案する。


「おー!」


 キサラも元気よく答える。

 サウナに入ると、キサラは驚いた顔をする。


「うわー、サウナってあっつい!」

「当たり前だろ、サウナは暑くてなんぼだぜ!」


 タクミは得意げに言う。

 サウナの中で、二人は様々な話をする。

 学校のこと、将来の夢のこと、そして友情のこと。


「ねえタクミ」


 キサラが突然真剣な顔で言う。


 「いつもありがとう。ボク、タクミくんとミナミちゃんのこと、本当に大切に思ってるんだ」

「な、なんだよ急に」


 タクミは少し照れながら答える。


「お、俺もだよ。キサラとミナミは大切な友達だ」

「ほんとだよ、ボク、タクミくんのことが本当に……」


 キサラが言いかけたその時、突然体が崩れ落ちる。


「え!? キサラ大丈夫!?」


 タクミが慌てて駆け寄ると、気を失ったキサラの体が光に包まれ、女の子に変わっていた。


「うわ!? お、おっぱい!?」


 タクミはパニックに陥る。キサラを助けなければと思う一方で、女の子になったキサラを前にどうしたらいいか分からない。


 キサラの長い髪が清流のように流れ、しなやかな肩のラインから、ほっそりとした腕へと続いている。

 ふくよかな胸元は柔らかな曲線を描き、ウエストのくびれは優美な砂時計のよう。

 肌は真珠のように白く、湯気と光で輝いている。


 タクミは目を見開いたまま、頭の中が真っ白に……。


(う、うわぁぁぁ! キサラの……キサラの……裸だあああぁぁぁ!)


 慌てふためいたタクミは、目のやり場に困って右往左往。


「あ、ああ、あわわわ…」


 タオルを取ろうとするが、焦って足を滑らせ、お尻から「ドスン」と転んでしまう。


「あいたた……」


 必死にタオルを掴もうとしますが、手が震えて上手く取ない。


「ご、ごめん! キサラ! 今、タオル巻くから!」


 やっとの思いでタオルを取り、キサラに巻こうとするが、

 目を逸らしているため、何度も失敗してしまう。


 タクミの顔は真っ赤で、まるで熟れたトマトのよう。

 額には汗が吹き出し、心臓は高鳴りっぱなし。


(落ち着け、落ち着くんだ、俺! でも、キサラ、こんなに綺麗だったんだなあ……あ、いかん、いかん!)


 必死に理性を保とうとするタクミ。

 だがもう限界だった。


「ミナミー! 助けてくれー!」


 タクミの悲鳴が温泉宿に響き渡る。


 ミナミの助けを借りて、なんとかキサラを部屋まで運ぶ。

 旅館のスタッフも駆けつけ、事態は収まった。



「ごめんねー、お風呂で倒れちゃって……」


 キサラが申し訳なさそうに言う。


「ほんとだよ、タクミ! なんでキサラをサウナなんかに誘うのよ!」


 ミナミが怒る。


「ごめん……」


 タクミはしゅんとなる。

 そんな三人の前に、豪華な夕食が運ばれてくる。


 目の前に並べられた料理に、三人は息を呑みました。


 まず目を引いたのは、大きな陶器の器に盛られた「山海の幸の会席御膳」です。


 中央には、地元の清流で獲れた鮎の塩焼きが香ばしい香りを漂わせています。その周りには、旬の野菜を使った彩り豊かな八寸が並んでいます。茄子の田楽、枝豆、焼き松茸、栗の渋皮煮など、一つ一つが丁寧に調理されています。


 お椀には、地元の名物「きのこの土瓶蒸し」。香り高い松茸や舞茸が入った出汁が、ほっこりとした温かさを運んできます。


 お刺身の盛り合わせには、脂がのった鮪、透き通るような鯛、プリプリとした食感の甘エビなど、新鮮な海の幸が並んでいます。わさびの香りが食欲をそそります。


 焼き物には、地元の名産「岩魚の骨酒蒸し」。ほんのり日本酒の香りがする蒸し汁に、ふっくらと火が通った岩魚の身が絶妙な火加減で調理されています。


 煮物椀には、山菜と豆腐を使った「山菜豆腐」。山菜の香りと豆腐のなめらかさが絶妙なハーモニーを奏でています。


 揚げ物には、季節の野菜の天ぷらが。サクサクとした衣の中に、野菜の甘みが凝縮されています。


 そして最後に、地元の棚田で育てられた「こしひかり」の炊き立てご飯と、香り高い味噌汁が添えられています。


 デザートには、地元の果物を使った「季節のフルーツゼリー」が用意されており、さっぱりとした甘さが口の中に広がります。


 この豪華な料理の数々に、三人の目は輝き、思わず「わぁ~!」という歓声が上がりました。


「ごーじゃすだー!」


 キサラの目が輝く。


「これ全部食べていいのか?」


 タクミも驚く。


「あたしこんな豪華な夕食初めて……」


 ミナミが絶句する。


「いただきまーす!」


 三人で声を合わせる。


 美味しい料理を前に、さっきまでの出来事は忘れ去られ、三人は楽しく食事を楽しむのだった。


 夕食後、三人は部屋で寛ぐ。


「ねえ、キサラ」


 ミナミが尋ねる。


「さっきサウナで倒れた時、女の子に変わったよね。あれはどうして?」

「え? ボク女の子になってた?」


 きょとんとするキサラ。どうやら倒れた時のことは覚えていないようだ。

 しかし何か思い出したようで、キサラは一瞬はっとしたような表情をする。

 そして……。


「んー、ないしょ!」

((こ、この小悪魔~~~!))


 ミナミとタクミは同時に悶絶する。


「あ!そうだ!」

「ど、どうしたの?」


 ぽんと手を叩くキサラに、ミナミが尋ねる。


「ほら、僕たちの部屋にカラオケセットがあったよね? 歌おうよ!」


 キサラの提案に、タクミとミナミも顔を明るくする。


「いいね!」

「楽しそう!」


 三人でカラオケを楽しむ中、気まずさは自然と消えていった。キサラの歌声、タクミの音痴な歌い方、ミナミの意外な歌唱力。笑いあり、感動あり、三人の絆はさらに深まっていく。

 

 夜が更けていく中、キササは窓の外を見て言う。


「ねえ、みんな。外見て」


 満天の星空が広がっていた。


「わぁ、きれい……」


 ミナミがため息をつく。


「流れ星だ!」


 タクミが指さす。


「みんなでお願い事しよう!」


 キサラが提案する。

 三人は目を閉じ、それぞれの願いを心に描く。

 キサラが優しく微笑みながら、タクミとミナミに向かって言う。


「ねえ、二人とも。ボクね、さっき流れ星に何をお願いしたか知ってる?」


 タクミとミナミは首を傾げる。


「「え? なに?」」


 瞬時に食いつく二人。

 キサラは目を閉じ、深呼吸をして、ゆっくりと言葉を紡ぐ。


「ボクね、私たち三人がずっと一緒にいられますようにって、お願いしたんだ」


 タクミとミナミは驚いた表情を浮かべる。


「キサラ……」


 ミナミが感極まった様子で洩らす。

 タクミは照れくさそうに頭をかく。


「お前らしいな」


 キサラは続ける。


「だってね、ボクにとって二人は本当に大切な存在なんだ。男の子の時も、女の子の時も、いつも支えてくれる。そんな二人と一緒にいられることが、ボクの一番の幸せなんだ」


 ミナミはキサラに抱きつく。


「私も同じよ、キサラ」


 タクミも照れながらも、二人に近づく。


「俺も……一緒だぜ!」


 三人は抱き合い、温かな空気に包まれる。


(タクミくん、ミナミちゃん……)


 二人の暖かな感触に包まれながら、キサラはこのささやかだけど大事な幸せをぎゅっと噛みしめるのでした。





(※作者注:物語はいったんこれで小休止です。でもまだ続けるつもりなので、もし先の展開のご希望等ありましたらコメントいただけると嬉しいです。作者の力量の範囲内で反映させていただきます。反映できなかったらごめんなさい)


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キサラとミナミとタクミの絆 ~性別なんて関係ない!~ 藍埜佑(あいのたすく) @shirosagi_kurousagi

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