第3話 キュブスキー教授の講義(二限目 キュッチャニア内戦)

 みなさんこんにちは。本日二限目はキュッチャニアの歴史の講義きゅ。前提としてキュッチャニアの歴史は全く解明されていないきゅー。史料をモモンガくんたちが食べてしまったり芋を焼くために燃やしてしまったりするからきゅ。モモンガ諸君にはもう少し歴史に学ぶことを覚えてほしいきゅ。だからいつまでたっても「ソ連の支援を受けている」という認識なんだきゅ。おっとこれは脱線だったきゅ。

 あとキュッチャニアは様々な事象が重なり合っており1つの歴史に収束しない。そのため今回の講義で扱う「第58次キュッチャニア内戦」も諸君の過ごしてきた世界線ではなかったかも知れない。前置きが長くなったけどそろそろ本題に入るきゅ。ではテキストのP494を開くきゅ。


 キュッチャニアでは過去に繰り返し内戦が行われてきました。その中でも特に有名なのは東キュッチャニア独立自治政府と西キュッチャニア共和国に分裂した『第58次キュッチャニア内戦』でしょう。この内戦はモモンガくんたちのお狐様信仰の違いに端を発しています。もともとも西部では過去の守護神として崇められており、東部では未来の来るべき救世主として信仰されていました。このお狐様を「過去」に位置づけるか「未来」に位置づけるかの違いは埋めがたいものがありました。

 内戦の直接的な原因はキュッチャニア中央に位置する都市エゾモモン市における祭事の扱いをめぐって両陣営がどんぐりを投げ合ったことです。なお、現在でもどちらが先に投げたのかはっきりしていません。一部ではタヌキスタンによる陰謀説もささやかれています。

  西キュッチャニアは東側陣営から「モンゴリカ」のどんぐりの供給をうけ、東キュッチャニアは西側陣営から「クヌギ」のドングリの供給を受けていました。

 もともともモモンガさんたちは戦意に乏しく、キュッチャニア自体が国際的に価値のある土地ではなかったため外国勢力の本格的な介入のないままだらだらとどんぐりを投げ合っていました。このとき、キュッチャン総統は蚊帳の外で気がついたら離島に引きこもっていました。

 戦局がこう着状態の中、ある日、離島に逃げていたキュッチャン総統が突如足こぎボートで帰国しました。

 帰国したキュッチャンを東西両陣営両陣営は棒でたたきました。しかしキュッチャン総統はめげませんでした。

「私を叩くことでモモンガさんたちが戦いをやめられるのなら喜んで叩かれよう」

 のちにエゾモモンの演説で知られる一句です。この時、棒で叩かれつつも愛されるキュッチャンが誕生したのです。この演説によって再度キュッチャニアは統合され現在のキュッチャニアとなりました。


 こうした内戦はときより発生しており、お気楽に見えるキュッチャニアも決して平坦な道を歩んできたわけではないことが分かるきゅ。また統合されたと言っても地方都市では未だに中央政府の統制が効かず西側のスパイや全裸中年男性たちの住処となっている場所もすくなくないきゅ。次回はこうしたキュッチャニアの地方都市について解説するきゅ。では本日の講義はここまで。


 あと講義中にドングリクッキーを食べるのはやめるきゅ。ポリポリ音がして集中できないきゅー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キュッチャニア・ストーリーズ 清水茶の助 @tyanosuke

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る