第九話 二人でおやすみをしまして
(ドアを開ける音)
「…はい、ここが私の部屋。あんまり人に見せたいほどのもんじゃないけど、キミは特別だから」
「うん、ぬいぐるみとか元々実家にあったやつであんまりかさばりすぎないの持ってきたの。ほら、なんか部屋になにもないと寂しくない?」
「?『他の部屋は清潔感すごいのにこの部屋は女子女子してる』?まぁ自分の部屋くらいは自分の趣味とか出しときたいし!」
「てか、そろそろベッド入ろ?私のベッド結構おっきいから多分キミも入るんじゃないかな?」
「………『何で一人暮らしなのにベッドだけでかいのか?』
……あー、それは…私、寝相がちょっと悪くてさシングルベッドじゃよく落ちるんだよね昔から。だから引っ越したついでにおっきいベッドにしたってわけ」
「あでもでも全然大丈夫!一緒に寝てても突然蹴りが入るとかそういうことはないと思う、多分!ただ、もしかしたらキミに思いっきりくっついてるかも知んない」
「は〜いベッドに入った入った〜。って、何で入らないのさ?私たちもう一緒にお風呂入った仲じゃん。
…あ、もしかして緊張してる?ふふ、かわい〜。ほら、おいで〜」
(布団を片手で広げる音)
「えへへ〜つっかまえた〜。あちょっと!離れようとしないでよ。一緒にいて」
「……ねぇ、今年の文化祭さ〜楽しかったね。一日目はお互いに出し物とかやって二日目に二人でいろんなとこ回ったりしたね〜」
「うちのクラスの出し物のさ、コスプレ喫茶あったじゃん?確かキミが一日目の前半で私が後半でさ。私が時間あって見に来たの覚えてる?」
「そうそう、あのときのキミ、髪の毛セットしてスーツ着崩してあれ何のコスだっけ?………マフィアの幹部?あ〜それだ。あれ超かっこよかった」
「それとさ、午後くらいにやった演劇部の劇あったでしょ。実はアレ、最初の方いつもみたいに緊張が抜けなくて、ヤバい!どうしよう!ってなんちゃってさ」
「それでも演技はしなきゃだから、とりあえず頑張ってやってたんだけどやっぱりまだ緊張してて。でもそん時に、最前列の端っこの方にキミがいるの見つけてさ、もうすっごいびっくりして!」
「それと同時に、なんか緊張がスーッて抜けてすごい安心感があってね、そっからずっといい演技ができたの!」
「えっと、だから…その………あ、ありがと。見に来てくれて」
(布団の中でもぞもぞしながら近づく)
「…ね、ぎゅってしてもいい?……いい?やったぁ……。ぎゅ〜〜」
「またこうやってお泊まりとかしようね。
あ、そういえば、明日空いてる?」
「『空いてる』?そっか。じゃあさ、明日は休みだからせっかくなら一緒に水族館デートしない?
…いい?やった、じゃあ明日早く起きてキミは一旦家に帰らなきゃだね」
「ふふ、明日楽しみだなぁ〜…。キミが私の彼氏でよかった〜」
「そろそろ寝よっか。ね、ちょっとこっち向いて」
(ちゅ、とくちびるに小さくキスをする音)
「今のは今までのお礼とこれからもよろしくの意を込めて。じゃあ電気消すね。」
「おやすみ、そんで明日起きたらおはようって言うね」
文化祭終了後、彼女の家でお泊りすることになった。 椿カルア @karua0222
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