第19話評定2

1549年4月 一条房基の死去


一条房基は土佐の大名であり、宇都宮や西園寺家と密接な関係を持っていた。彼の死去は、宇都宮にとって大きな後ろ盾を失うことを意味した。これにより、河野家にとっては、これらの敵対勢力への侵攻が容易になる可能性が出てきた。




1550年2月 大友二階崩れの変


この事件は、大友家の内部で発生した大規模な権力闘争であり、大友宗麟の地位を一時的に揺るがせた。この内紛により、大友家は一時的に外部への影響力を失うこととなり、河野家が宇都宮や西園寺家への侵攻を行う際の干渉が大幅に減少することとなった。




1550年4月


河野家の評定


湯築城の会議の間では、晴通をはじめとする河野家の主だった者たちが集まり、宇都宮・西園寺への侵攻計画について話し合っていた。




晴通が席に着くと、会議が始まった。




「みな、集まってくれて感謝する。先の一条房基の死去と大友家の内紛により、我々の計画は大きな進展を迎えることとなった。これからは、伊予統一を本格的に進めることができる。」




和田道勝が発言する


「殿、無理に侵攻しなくとも我が領は米をはじめ税収も上がり安定し始めております。何故に侵攻する必要があるのでしょうか?」




「ふむ、そこは重要な目的だが俺は新の守護大名として伊予の平定を目指している。宇都宮の様に鎌倉幕府時代に守護だったことをいいことにいつまでも領地を明け渡さない。西園寺家も過去に荘園となったことをいいことに宇和にそのまま住み着いておる」


「ですがそのような事を勝手にやれば将軍家が黙ってないのではなるのでしょうか?」




重見通継が発言する。


「そこは抜かりない。その為に細目に献上品を送っておったのだからな。正式に伊予全域の守護を認める文書を手に入れておる」




「そして伊予の平定にこだわるのは我らの生き残る唯一の道なのだ。現在各国では大小さまざまな戦いが起こっておる。平和なのは四国くらいだ。そんな取り残された四国があと20年も続けば周りには大国しか残っておらんようになり飲み込まれるのが落ちだろう。俺はそうならないためにも伊予の平定を成し遂げさらに力を付けるのが目的だ。そうすることにより大内にも大友とも対等に交渉が出来る。その為にも宇都宮と西園寺を打つことは必要なのだ。」




友直が一層大きな声を張る


「確かに清月を通して入ってくる情報はまさに乱世と言ってよき状況、そこを生き残るには力が必要なのも納得できます。我等には多くの新しい力があります。その力を使い伊予の平定が必要とあれば我等家臣一同が全力で殿をお支えする所存です」




盛国もそれに続く


「他国では貧困にあえぐこともあると言います。ですがわが国では米の改善にも力を入れ食うものに困らず治水を改善し災害の対策をして絣を作り着るものも華やかにそして新たに開墾された土地で住む場所も困らない。これからも伊予を発展させ豊かな国造りをしていきます」


その言葉に続いて他の家臣団も賛成してくれたようだ。




友直が確認してくる。


「それでは宇都宮に対しなのですがどのような方針を取られるかお決まりになっておいでですか?」




「無駄だと思うが、こちらには正式な書面がある、これを盾に西園寺と宇都宮に従属するように勧告して聞き入れんかったら侵攻する。使者には盛周お主に頼むぞ。」




「はっ!ですが素直に従いますかな?」


「直之の件もあるし鎌倉幕府から続いているという自負もある従わんだろうな。だから最終的には戦になる。今回は宇都宮が降伏するまで徹底抗戦になるだろう事を皆は覚悟してもらいたい」




戒能道運が提案する


「時期としては、夏の終わりから秋の初めがよいかと思います」


盛国らほとんどの家臣が賛成する


「田畑の収穫が終われば、農民兵も動員しやすくなります」




それに対して友直が待ったをかける


「某は反対です。宇都宮を併呑するなら今から使者を送り来月には戦端を開くが宜しいかと思います。」


その答えに困惑する一同の疑問を盛国が問う


「ですが今は田植えの時期です収穫に影響が出ます。不利な条件は同じですし無理に早く戦を仕掛けることは無いかと思いますが」




友直は皆に有利なポイントを説明はじめる


「それでも問題ない程度には蓄えがあると思いますが?それに条件は同じではありません足軽1000がおります。これは大きく有利な条件だと言えるでしょう、この部隊を中心に一両具足から重見殿・平岡殿を加え。武田殿と曽根殿で農兵500を指揮して頂ければ負担は少なくなります。農兵は基本的に後方支援などを主軸にやらせればよろしいかと思います。あと今回の重要な役どころは和田道勝殿の特殊部隊100でしょうな。その部隊を合わせれば問題ないかと思います」




盛国は納得しつつ疑問を言う


「確かにそれでしたら被害は最小になるかと思いますが宇都宮はいかほどの兵を出してきましょうか?」


その疑問には晴通が答える


「清月の話ではうちの猿マネで石高自体は多少上がって豊かになったそうだが我が領土と比べると雲泥の差といえよう。米に至っては正確な指導者もいないから失敗しているところもあるそうだ。そこの補填もしていたら結局は例年通りという事になるかもしれんな」


その話を聞いて友直は安堵する




「それでしたら出せても1500と言った所でしょうか。しかも兵力と士気に差があるので油断は出来んが負けはしません。しかも籠城されても向こうが不利になります。なぜなら我々はこの数年で十分な兵糧の確保が出来ておりますが例年通りとした場合こちらの方が圧倒的に有利だからです。最悪宇都宮領の田畑から略奪しても構わないわけですしね。大洲城が大きいとはいえ精々が2か月分もあれば飢えるでしょう」




忽那通著が発言する


「そう考えれば大洲の徳森に兵を配置して決戦を挑んでくるのではなかろうか」


大野直昌


「伊予龍王城までを我ら大野家が管理しているのを考えれば大洲城までは盆地が続き伏兵を置く場所も無いでしょうし正面決戦を強いられるという事ですね」




「よし!各々は曾根城を目指しそこで軍の再編をするその後伊予龍王城をとおり徳森で宇都宮を打ち倒し大洲城に入場する。勿論、俺もでる」




そこに黒川が言葉を挟む


「殿、守りに関してはいかがいたしましょう」


「湯築城に関しては今まで通り弟の道宣にまかせる。治安維持に努めるようにしつつ大内の動きにも警戒しておくように。何かあったら忽那家を主軸に使う事だ忽那なら海戦も陸戦も対応出来るからな。後二神家は宇都宮が海路から攻めてこないかの警戒に当たれ海路から来たら忽那と軍を再編して小早改で目に物を見せてやれ」


「「は」」




「東の守りは大人しく問題ないとは思うが黒川が主体となり来島・能島両村上と戒能家が支援せよ。なんなら小競り合いの1つや2つやっておいて相手の力量を探っておくと良い宇都宮西園寺が終わったら金子まで手に入れることになるのだからな」


「「ははっ」」




「準備は怠るな。そして、兵の士気を高め、確実な勝利を収めるために最善を尽くそう。」

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異聞伊予章記  ~3人寄れば文殊の知恵~ @iyomikan1220

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