第18話 新兵の訓練

大野友直は、足軽として雇った500名の訓練において、基礎体力の強化を最重要課題と考えていた。戦場での持久力と耐久力を高めるためには、まず身体を鍛える必要があった。




朝の光が差し込む早朝、兵士たちは訓練場に集まり、大野友直の指揮のもとで基礎体力強化の訓練が始まった。


基本的に5人1組で構成されている。点呼で全員がそろったのを確認したら早朝のトレーニングから始める


基礎体力の強化


友直は、兵士たちを二列に並べて朝のランニングを開始する。コースは城周辺の森を通り抜ける1里の道のりだ。途中には倒木や岩などの障害物が設置されており、兵士たちはそれらを飛び越えたり避けたりしながら走る。


「さあ、出発だ!目標は全員が時間内にゴールすること。足を止めず、前進あるのみだ!」


友直の声が響く。


兵士たちは掛け声を合わせ、ランニングを始める。「おおおー!」声を張り上げて士気を高めながら、足を進めていく。


訓練の途中、ある兵士の不平不満の声が聞こえる。


「なんで毎日こんなに走らなきゃいけないんだ。足が棒みたいになっちまうよ。」


兵士が息を切らしながらぼやく。


それを聞いた友直が振り返る


「これはお前たちの体力を鍛えるためだ。戦場では一瞬の油断が命取りになる。今は辛いかもしれないが、耐えてくれ。それが生き残るための道だ。」




基本的な筋力トレーニング:


腕立て伏せ、腹筋、スクワットを基本とし、全身の筋力を鍛える。


毎朝のランニング後に30分間の筋力トレーニングを実施。




途中の森の中での障害物走


「前方に倒木があるぞ!しっかり跳べ!」


友直が指示を出す。


兵士たちは倒木を飛び越える。「いっせーの!」掛け声とともに跳ぶ兵士たち。


ある兵士は足を滑らせて転んでしまう。「くそ、なんてこった。」と悔しそうに呟く。


友直はすぐに駆け寄り、「怪我はないか?転んでも諦めるな。戦場では何度でも立ち上がることが重要だ。」と励ます。




下肢の強化:


特に下肢の強化に重点を置き、重りを使ったスクワットやランジを取り入れる。


長時間の行軍や戦闘に耐えられるよう、持久力と瞬発力を養うトレーニングを組み合わせる。




渡河訓練


次に渡河の訓練が始まる。浅瀬を渡る兵士たちの姿が見える。川の流れは速く、注意を怠ると足を取られそうだ。


「ここは流れが速い。足元に注意しながら進め!」


友直が注意を促す。


兵士たちは互いに支え合いながら川を渡る。「しっかり掴め、落ちるなよ!」仲間同士で声をかける。


一人の兵士がバランスを崩し、流されそうになる。「助けてくれ!」と叫ぶ。


友直が素早く駆け寄り、「しっかり手を伸ばせ!」と声をかけながら、その兵士を引き上げる。「大丈夫か?恐れるな、もう一度挑戦だ。」と励まし、再び渡河を促す。




サーキットトレーニング:


各トレーニングを連続して行うサーキットトレーニングを導入し、心肺機能の強化も図る。


筋力と持久力を同時に鍛えることで、効率的な体力強化を目指す。






舟の操作訓練


次に舟の操作訓練が始まる。簡単な舟を使って川を進む訓練だ。


「この舟は戦場でも使える。しっかり操作を覚えろ!」友直が指示を出す。


兵士たちは舟を漕ぎながら進む。「左側をもっと強く漕げ!そうすれば真っ直ぐ進む!」友直の声が響く。


兵士たちは必死に漕ぎながら、「これなら大丈夫だ、もっと上手くなれる!」と自信を持つ。


森での静音移動訓練


次は静音移動の訓練だ。兵士たちは森の中で、できるだけ静かに移動する訓練を行う。


「足音を立てるな。敵に気付かれずに進むんだ。」友直が指示を出す。


兵士たちは慎重に足を運び、音を立てないように進む。「これは難しいな…。」またある兵士が小声で呟く。


友直が近づき、「静音移動は忍耐と集中力が必要だ。焦らず、ゆっくり進めばいい。」とアドバイスする。


兵士たちは互いに助け合いながら、静かに森の中を進んでいく。




午前の訓練終了後




友直は訓練を終えた兵士たちを集め、「午前の訓練、お疲れ様だった。お前たちの頑張りは確実に実を結ぶ。引き続き、全力で取り組んでくれ。」と声をかける。




兵士たちは疲れた表情を見せながらも、「はい!」と元気よく応じる。




早朝のランニングと基礎体力トレーニングが終わった後、大野友直は兵士たちを模擬戦闘の訓練場に集めた。彼は、実際の戦場を再現した訓練を通じて、兵士たちの戦闘能力と戦術理解を深めることを目的としていた。




訓練の概要


友直は兵士たちを集め、模擬戦闘のルールと目的を説明する。




「午後からは模擬戦闘を行う。実際の戦場を想定し、戦術の理解と実践力を養う訓練だ。怪我のないように注意して、全力で取り組んでくれ。」




兵士たちは緊張しつつも興奮した表情で友直の指示に耳を傾けた。




模擬戦闘のチーム分けと役割




友直は兵士たちを二つのチームに分けた。赤チームと青チームに分かれ、それぞれのチームにリーダーを選出する。




「赤チームのリーダーは成安、青チームのリーダーは弥悟とする。各チームはリーダーの指示に従い、作戦を立てて行動せよ。」




リーダーに選ばれた成安と弥悟は、それぞれのチームメンバーと短い作戦会議を始めた。




戦場の設定


訓練場は森と開けた草原、渡河ポイントなどを含む多様な地形で構成されている。兵士たちは、各ポイントに設置された旗を奪取することを目標に戦う。




「戦場には5つの旗が設置されている。各チームは旗を奪取し、自陣に持ち帰ることが目的だ。制限時間内に最も多くの旗を持ち帰ったチームが勝利とする。」




模擬戦闘の開始


友直は、合図の号令をかけ、模擬戦闘を開始した。




「よし、始めろ!」




兵士たちは一斉に動き出し、各ポイントへと向かっていった。




森の中での接近戦




赤チームは森の中を進み、静かに旗を目指す。青チームも同じく森を進むが、途中で赤チームと遭遇する。




「敵だ、構えろ!」成安が指示を出す。




青チームも応戦し、両チームは木々の間で接近戦を繰り広げる。木の影に隠れつつ、敵の動きを探りながら進む。




開けた草原での激戦




一方で、草原では青チームが旗を目指している。赤チームも草原に到達し、両チームは正面から激突する。




「一斉突撃!」弥悟が声を張り上げる。




赤チームは盾を構え、槍を突き出して青チームに向かって突進する。青チームも防御を固め、反撃の機会を伺う。




渡河ポイントでの攻防




川を渡る渡河ポイントでは、赤チームが旗を守り、青チームが奪取を試みる。渡河中に敵に気付かれないように慎重に進む。




「旗は渡さない!」赤チームの兵士Cが声を上げる。




青チームは川を渡りきる前に射撃を開始し、赤チームを牽制する。




戦闘の終了と総括


模擬戦闘が終了すると、友直は両チームを集めて総括を行う。




「今日の戦闘は見事だった。各チームの動きや戦術の取り方は実戦さながらだった。特に森の中での接近戦では、静かに敵を待ち伏せる技術が光った。だが、まだ改善点も多い。例えば、渡河ポイントでの防御はもっと堅固にしなければならない。」




友直は個々の兵士にフィードバックを行い、各自の改善点を指摘する。




兵士たちの反応




成安:「今日は良い経験になりました。実際に動くことで、自分たちの弱点がよく分かりました。」




弥悟:「もっと連携を深める必要があると感じました。次回はもっと練習を積んで、チームとして動けるようにしたいです。」






友直は兵士たちの成長を感じつつ、次の訓練への準備を進める。兵士たちが強くなるためには、日々の努力と訓練が欠かせない。彼の指導のもと、兵士たちは着実に力をつけ、戦場での役割を果たす準備を整えていった。




「友直様のおかげで、俺たちも立派な兵士になれる。今日も頑張ろう!」兵士たちは仲間に声をかけ、全員が一体となって訓練に励んだ。




こうして、大野友直の指導の下、兵士たちは着実に成長を遂げ、戦場での役割を果たすべく準備を整えていった。彼の苦悩と工夫が実を結び、河野家の力を一層強固なものにするための一歩が確実に踏み出された。


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