ちょこれーとくりーむ!

@1146nohi

第1話 気まずい

「ここで合ってるかな…?」

花村美心は今日から高校生になる。本当は、中高一貫校に通っていたけれど、度重なるいじめに耐えられなくなって高校受験をして、この高校に入学をすることになった。

「美心ー!!おはようー!!」

この子は梅崎千花。小学校時代からの親友で、お人形みたいに可愛い女の子だ。この高校を受けたのもこの子がいるからだ。

「おはよう千花。入学おめでとう」

「美心もおめでとうー!千屋とは話した?」

「唯斗くんとはまだ会ってないよ」

千屋唯斗くんは、昔から遊んでいた男の子だ。久しぶりに会うので楽しみにしている。

「おはよー千花ちゃん」

噂をすれば唯斗くんだ。

「おはよう千屋。と、隣にいるのが美心だよ」

「え!?美心ちゃん!?めっちゃ可愛くなってる!もちろん前も可愛かったけど!」

リアクションを見てもらうと分かる通り、小学校時代の私は、少し太っていて髪も短かく、今とは全く違う風貌だった。美容に気を使い始めたのは中学の時だから驚く気持ちも分かる。

「ちょっとー!美心は容姿で人を判断する人が大嫌いなんだからー」

「俺は前の美心ちゃんも可愛くて好きだよ。ただ、だいぶ雰囲気が変わっていて見惚れていたってわけ」

「相変わらずチャラいねー、千屋は」

千花は少し呆れた顔をした。

「千花ちゃんも雰囲気変わったよね。小学校の時は、もう少しガーリーなかんじじゃなかった?」

「唯斗くん、それは…」

「いいよ、美心」

千花は放った。確かに小学校の時とはハーフツインで、赤いリボンを着けていて、本当にお人形のようだった。その理由を聞いた子ともあったけれど、千花は好みが変わったのだと言っていた。本当にそうだったかもしれないけれど、千花の顔が妙に暗かったのを覚えている。

「好みが変わったんだよ。小学生の時と今の好みが変わることなんて、よくあることじゃない?」

「確かにそうだよね。変なこと聞いちゃったな」

唯斗くんは笑った。本当は私だってもっとそのことについて聞きたかったけれど、千花が嫌だと言うならしょうがない。

「そういえば、花井もいること忘れてない?」

「ギクッ」

そうだ、すっかり忘れていた。この高校には花井楓太が入学してくることを。ぽっちゃりしていたあの時代の時、彼は、私のことを女子として見てくれた男の子であり、大切に扱ってくれた男の子でもある。そして、私の初恋の人でもある。しかし、卒業間近の時に言い合いの喧嘩になってしまって、そこから会っていない。正直会うのも緊張する。それにも関わらず、この高校を受験したのもやっぱり千花の存在が大きかった。

「あの人はスポーツ推薦だったよね。サッカーで全国行ってたし」

「だよなー、花井モテるし羨ましいわ」

そんな2人の会話を聞いていたら、急に千花が声を上げた。

「あれ!?あの人花井じゃない?」

遂に来たか。私は少し身構えた。どんな人になっているのだろう。やはり初恋の人ということもあり、気になる気持ちが大きい。

 でもやっぱり、

「気まずいよ〜!!!」

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