第58話
スライムたちが身体に張り付いて身動きの取れていないペネトレイトディアを射殺して行き、最後のペネトレイトディアの頭部に矢が突き刺さる。
力を失って地面に倒れ込んだペネトレイトディアをスライムたちは捕食を開始した。
半分のペネトレイトディアはスライムたちのお腹の中に入り、残りのペネトレイトディアは丁寧に捕食されて素材に分けられていく。
素材に分けられたペネトレイトディアはボックススライムの力を使ったリムが回収してから探索はまだまだ続く。その前に泉の水を回収する。
この泉の水は通常よりも人里の井戸の水よりも豊富な魔力が溶け込んでおり、魔法薬作りに重宝されている特別な水なのだ。
スライムたちに飲ませるだけでも魔力を回復させる。ボクも魔力回復の為にリムが取り出してくれたコップの中に水を入れる。
『マスター、待って!』
「ん、どうしたの?リム。」
コップに入れた水を飲もうとした時にリムに飲むのを止められてしまう。
『水を綺麗にするよ!それっ!!』
ピュリファイスライムやホーリースライムの力を使ったリムがコップの中の水を浄化して綺麗にする。
これで泉の水の効果が無くなるのかは分からないが、綺麗な人が飲んでも問題のない水へと変わった。
「ありがとう、リム。」
『ううん。それよりマスターも飲みなよ!美味しいんだよ!!』
「うん、そうするよ。」
僕もコップの中の水を飲んでいく。
水を飲んで行けば行くほどに身体の中に水が染み込んでいくのを感じてしまう。
「美味しいね。沁み渡る感じがするよ。」
『ね、マスター。』
だが僕には問題もあった。身体の細胞が欲するように次から次へとコップの水を飲んでしまうが、魔力の回復がされてしまうせいで最大魔力量にいつの間にかなっていたのだ。
「ヤバいな。」
これ以上魔力が増えることになれば体調を崩してしまい兼ねない。
僕は急いでスライムたちを様々な掛け合わせ召喚で、スライムを大量に召喚していく。
泉の周りには200匹近く新しいスライムたちが召喚された。
「調子に乗って飲み過ぎちゃった。」
反省しないとな。そんな事を胸中で思いながらも、僕は新しく召喚されたスライムたちに獣の森中層の探索をするように指示を出した。
次々に森の茂みの中へとスライムたちが姿を消していくと、少ししてから森の中がざわめき始める。
多分だけれどスライムたちと獣の森の獣系のモンスターが戦闘を始めたからだろう。
周囲から戦闘音が鳴り止むのを待ってから僕たちは探索を再開する。
森の中を移動しているが森の中は荒らされていた。これはさっきまでの戦闘の影響なのだと思う。
周りの木に獣系モンスターの血液と思わしき物が付着しているし、倒されたスライムがべっちょりと地面に広がっている。
そのまま時間経過でも魔力に還るだろうスライムを送還することで消してしまう。
ほんの少しだけ魔力が回復するが、もうほとんど死んでいるような状態のスライムだった為、本当に少しだけしか魔力は回復していない。
そんな事が何度もありながらもようやく僕たちは獣系モンスターと遭遇する。
「デカいな。奇襲攻撃でやるぞ。僕の攻撃後に全員突撃だ。」
腕が4本もある3メートルサイズの巨大な熊のモンスターの頭部を狙って僕はミスリル製のスライム矢にたっぷりの魔力を纏わせて放った。
多い魔力が纏っているせいで途中でクアトロアームベアに気が付かれてしまう。
放たれた矢をクアトロアームベアの4本ある腕の1つで防いでしまったが、それでも深く矢は突き刺さっている。
「ぐぉおおお!!!!」
痛みと攻撃された怒りでクアトロアームベアは叫び声をあげると、矢が放たれた方向を睨み付けて走り出して来る。
そんなクアトロアームベアに向かって大量のスライムたちが茂みの中から飛び出していく。
スライムマスター 甲羅に籠る亀 @GOROHIRO
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