第11話 深夜のグループ通話

 洞爺湖のホテルには夕食会場もあるのだが、ここはビュッフェ形式になっており約50種類もの食べ物が食べ放題で、お寿司やステーキなどの実演も行っている。

「すごいいい匂いだね~」

「わたし、ビュッフェ形式初めて!!」

「めちゃくちゃ寿司うまそう」

「どれも美味しそうだね」

「全種類食べないと家帰れんわ~(笑)」

 各々そんなコメントを残しつつも北海度の新鮮な魚介や旨そうな肉汁のステーキなどに食欲がそそられ、山のように料理を取ってきていた。料理から出る湯気が出来立てである証であり、プールで動かした身体の後だからこそ余計に早く食べたい気持ちがせっていた。


 普段であれば、和気藹々と私語をしながら食事をするところだが、北海道の新鮮な野菜や魚介を堪能しているあまり無言で食べては、お皿が空になったらおかわりを取りにくいというバイキング形式ならではの食事を時間制限ギリギリまで満喫したのだった。バイキング会場を後にして、部屋に戻った秀と優貴、颯は当然のようにまくら投げを始める。やはり、旅行での部屋割りイベントにおける楽しみの一つだろう。しかし、今回は修学旅行ではなく、プライベートな勉強合宿である。女子と男子はもちろ泊まってる部屋の棟が別れているため、三人でまくら投げをやったところで虚しくなって次第に飽きるというものだ。一応、許可があれば女子の部屋がある棟に行くこともできるのだが、他の旅行客もいるため迷惑をかけてしまう可能性があったので、今回はlineのグループ通話の機能を使って話すことにした。


「ご飯、めっちゃ美味しかったね!!」

「うん、そうだね。特にパスタが美味しかった」

「お寿司ってこんなに美味しいんだってビックリしちゃった」

「焼肉、いくら丼、アイス。どれもビュッフェで食べれていいクオリティじゃないよこれ」

「本当においしすぎた…」

各々の料理に対する絶賛の嵐が鳴り止まない。

彼らはその後今回の宿泊地である北海道の観光スポットやお土産などの話をして、みんなすっかり勉強合宿が目的であることを忘れていたようだった。

そして、その話し合いは深夜まで続いたのだった…

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青春に心臓を捧げるまで 龍聖 @pokesyousetu

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