AIイラストを使用する小説家に思うこと

一個人のスタンス

 生成AIって凄いですよね、あれこれ呪文入れるだけでハイクオリティなイラストが出力できちゃう(手がおかしな仕上がりになることが多いけど)。

 これなら絵が描けない人も、小説の挿絵を描くことができるし、表紙にすれば投稿サイトで人目をひくことができる。


 ――――そう思っていた時代が私にもありました。

 実際去年の春、初めてアルファポリスに登録した時には一作品表紙をAI出力しました。アカウントごと数日で葬ったので、今はもうどこにも残っていません。


 私は商業作品を出し続けたいので現在、生成AIを使っている方とは距離を置いています。どんなに有名な方でも、その他の面で尊敬できる方でも、現役で使用しているとわかった時点でフェードアウトです。


 悪用する人間が悪いのであって、技術そのものは悪くない。

 そうですね。でも現実に、無断学習で被害を被っている方がいて、その問題は今も解決していません。

 完璧にクリーンなAIがあるなら教えてください。

 ちゃんと学習元を公開して、ちゃんと全部許可取ってて、他者の権利を侵害しない生成AIがあるなら素晴らしいと思います。それなら使いたいぜ。


 法的にはセーフという方、逆の立場になって考えてください。

 例えばストーリーを作れない漫画家志望。

 あなたの尊敬する作家の小説、あなたの小説をAIにぶち込んでそれっぽい話を作り、それで漫画を書いて「お仕事募集中!」とSNSにアップしたらどうでしょう。

 圧倒的に腕がよければそれでもやっていけるかもしれませんが、野性のクリエイターがあふれかえっている今の世で、わざわざその人を選ぼうと思いますか?


 イラストレーター、漫画家さんにとっても同様です。

 創作垢で活動家のようなことはしたくない、詳細を把握していないので下手なことは書けないなど諸々の事情で表に出していないだけで、その絵師がAIを嫌悪している可能性は大いにあります。


 書籍にはイラストが必要で、コミカライズには漫画家が必要です。

 AIが絶対に必要で、他人にどう思われようと関係ないならもう何も言いません。

 私はメリットよりもデメリットの方が大きいと考えるので、将来お世話になるかもしれない彼等に悪印象を与える覚悟で利用しようとは思えません。

 私も最新の情報を細かくチェックしているわけではありませんが、私が悪く思われたくない相手の大半も私と大差ない知識量だと思っています。

 判断基準は生成AIの是非ではなく、絵を仕事にしている人々が肯定しているかどうかなので、時代が変わるまで私はAIに手を出すつもりはありません。

 容認しているとも思われたくないので、問題が大きくなった現在も利用を続けている方とは距離を置きます。

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