幕間 上坂光海理
「情報部のゴーストランナー君。彼について調べて欲しい」
「そう呼べと言ったのは俺だが、その呼び方はもうやめろ。若気の至だった。恥ずかしいから本当にやめてくれ」
「ふふ、一年ぶりともなると人は変わるものだねぇ」
「黙れ。いいから本題に入れ」
光海理はA4サイズの茶封筒をパーカーの男に投げて寄越した。
「薄っす、何だこれ。写真一枚と裏表印刷のプリント一枚でこんな大層な演出してんじゃねぇよ」
「きみはそう言うのが好きなんだろう?」
「……俺が悪かった。次からは普通にしてくれ。で、コイツの何を調べればいいんだ」
「星下影司。今ウチの後輩とたまたま一緒に揺らぎの対応にあたった子の名前だ。血縁から何まで、洗いざらい調べて欲しい」
「ハッ、プライバシーって知ってるか?」
「知っているとも。軽く調べたが、母親は神主の娘、父親は宇宙飛行士らしい」
「そこまで調べたんなら自分でやれよ、なぜ俺に頼む?」
「母方の歴史はおおよそわかったが、父の方が難しくてね。亡くなった、ということまではわかったが、内容がきな臭い。宇宙開発機構の機密情報周りをきみに頼めないかと思ってね」
「なァるほど、俺を犯罪者にしようってワケね」
怪しげな男はフードの中で、楽しそうな笑みを漏らす。
「できるだろう?」
「できるとも。但し、読んだら残すなよ」
「報酬についてなんだが」
「テメェに貸ひとつ、なんざァ何処のお偉いさんでも喉から手が出るほど欲しいだろ。今はそれでいい」
「ふふ、助かるよ」
そうしてPC室を後にし、校門に向かうのだった。
ゴーストガーデニング 光明七夜 @mikage38
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