終わり

エピローグ



 あっという間に時間は過ぎていく。

 ほとんど変わらない毎日が、そう思わせるのかもしれない。

 学園に在籍して二年目に入ってから、屋敷で教育を受けることになった。

 学ぶ速度は今までとは違い、かなりの速さで進んだ。

 三ヶ月もしないうちに、その年の学ぶ範囲を網羅し、学園側に追加を要請したほどだ。

 学園側も始めは疑いをかけたが、試験の結果を見て考えを改めた。

 学園の既存の進行計画に則り、範囲を学び終えると試験を行う。

 これを繰り返し、自分独自の進行計画を作成させた。


 長期休暇以外の日は、その進行計画に則り生活を行っていた。

 休暇中は森にて探索、鍛錬を行い冒険者への準備を進めた。

 そうして、二年の終わりには、四年生で学ぶ範囲は終わっていた。


 三年、四年と進級していくと、妹のフィルマが学園入学し、休暇中に屋敷を訪ねて来るようにもなった。

 その後の休暇中は、毎回一緒に生活するようになり、最後の数日だけ集落へ帰らせていた。

 両親への報告と祖父への手紙を渡してもらうためだ。


 たまにリーベからの伝言を受け取り、学園生活の楽しさや友人との思い出も聞いている。

 フィルマには世話になってばかり。

 卒業後、屋敷は彼女に受け継がせるつもりだ。

 気軽に帰っても来れるし、フィルマであれば、独自の進行計画を組んだ方が彼女のためにもなる。

 オレ自身、管理するのが面倒というのもある。

 フィルマは、冒険者になるつもりはないらしく、商売をしたいとも言っていた。

 フィルマ宅兼拠点の一つと考えている。


 卒業の季節になると、セバルやマリアーナも、リーナさん同様無事卒業し、わざわざ手紙を送ってくれた。

 セバルは三年目。マリアーナは四年目の時だった。

 リーナさんに関しては、別れの時に言われた月一の訪問が継続している。


 平和すぎる四年目を終え、五年目に入る。

 五年目も同じような生活だろうと考えていた。

 しかし、学園長の手紙が届き、その考えは消える。



 選抜戦・対抗戦について


 偽名を使い、選抜戦への参加を求める。

 その後行われる対抗戦の見学と、

 他の都市の観光を行い見聞を広めることを勧める。


               プルト・イングリース



 四年ぶりの選抜戦。

 その後の対抗戦は、出場の有無に関わらず出向くことが確定していた。

 他の都市の観光は、これまでおこなっていない。

 カイガ、クルデアの故郷には赴いたが、集落、村程度で都市を見ることはなかった。

 本当に良い機会だ。


 断る理由もないため、オレは了承することを書き記し、返事を送った。

 自分がどれほど成長したのか、楽しみでしかたない。

 それに、元クラスメイトの者たちや、その他友人の活躍も見れるかもしれない。

 そんな思いを胸に、残りの時間を過ごしていく。

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転生したとて変わらんよ アライキアラ @araki0033

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