勇者一行!

浅倉 茉白

勇者一行!

 やがて、この世界に脅威が現れる。


 我々がそれを倒す。


 そう言って現れた勇者一行。


 そのときは何を言っているんだかわからなかったが、その予言は正しかった。


 ある日突然、紫色の闇がうごめく、魔王城が現れたのだ。


 このカイセイ国の王である私は、早速、勇者一行を城に呼び出した。



「そなたたちの言っていたことは本当であった。では早速、魔王討伐に向かってくれ」


「はい。というかもう、倒してきました」


「なんだと。それでは、あの魔王城にはもう、魔王はおらんということか」


「はい。もうじき、魔王城も消えることでしょう」


「ああ、本当だ。消えてしまった。紫色の闇も消え、すっかり快晴じゃ」


「我々はこの世界の脅威を払うためにここへ来ました。なので、王様に言われるまでもなく、魔王を倒したというわけです」


「しかし、果たして本当に魔王は悪い奴だったのか? 正直、何もかも突然のことだったので実感が湧かない」


「はい。魔王はこの城を乗っ取り、世界を掌握し、すべての人々を殺め、手始めにまずは王からだと言っていました」


「それは悪い奴だ。よくぞ倒してくれた」


「はい。では、失礼します」


「まぁ待て。何か褒美をさずけようではないか」


「そんなもの、いりません。我々はただ、やることをやったまでです」


「では、頭をこちらへ」


 王様が、勇者一行の戦士であるセンシロウの頭を、なでなで。


「よくやった。では、これより自由時間とする」



 やがてまた、この世界に脅威が現れる。


 センシロウ。魔法使いのフィナンツェル。盾持ちのドールシ。


 三人はひたすら、王から呼ばれる前に脅威を倒し続ける。


 そしてついに、ファイナル脅威を倒したことを王に報告し、異世界へと帰った。


 一体、なんだったのか。おわり。

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