大文字伝子が行く292

いざない

　＝＝＝＝＝＝　この物語はあくまでもフィクションです　＝＝＝＝＝＝＝＝＝

　==============　主な登場人物　================

　大文字伝子（だいもんじでんこ）・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー（平和への案内人）または行動隊長と呼ばれている。。

　大文字（高遠）学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ（アナザー・インテリジェンス）と呼ばれている。

　一ノ瀬（橘）なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

　久保田（渡辺）あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

　愛宕（白藤）みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。

　愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。

　斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

　久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。警察とEITOのパイプ役もするが、『交渉人』が必要な場合は、柴田管理官と交替で交渉人も行う。

　久保田誠警部補・・・警視庁警部補。あつこの夫。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。

　橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』

　を手伝うこともある。

　西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』

　を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。

　草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

　渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。

　河野事務官・・・警視庁から出向の事務官。警察、自衛隊、都庁などの連絡も受け持つ。

　増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。

　馬場（金森）和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

　高木（日向）さやか一佐・・・空自からのEITO出向。

　馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

　大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

　田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

　浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

　新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。

　結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

　安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

　稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

　愛川静音（しずね）・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

　江南（えなみ）美由紀・・・､元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。

　工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。

　西部（早乙女）愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO準隊員。

　伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

　葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

　越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

　小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

　下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。

　飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

　財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

　仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

　七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。

　大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。

　高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。

　青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。

　馬場力（ちから）3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

　井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。

　筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

　新里あやめ警視・・・警視庁テロ対策室勤務。あつこの後任として、村越警視正の補佐を行っている。

　原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。

　本郷隼人・・・EITOシステム開発部課長。

　芦屋一美・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。EITO大阪支部に出向している。

　芦屋二美・・・陸自からの出向の二曹。EITO大阪支部に出向している。

　大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。

　藤井康子・・・伝子の仕切り隣の住人。モールで料理教室を開いている。EITO準隊員待遇。

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　==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

　==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

　※昭和26年（1951年）以降、埠頭整備が本格化し、昭和30年（1955年）に晴海埠頭が開業しました。また、それと同時に、第1回東京国際見本市（当初、晴海は仮設展示館による第2会場）が開催されました。好評につき、昭和34年（1959年）の第3回国際見本市以降は、恒久展示館（東京国際貿易センター）を晴海五丁目に建設して見本市が開催されていました。

　その後、この展示館は「東京モーターショー（1959年～1987年）」などをはじめ、さまざまなイベントに利用されました。

　晴海の展示会場は、施設の老朽化等により、平成8年（1996年）の東京ビッグサイト完成に伴い、その役目を譲り渡し閉場しました。

　そして、晴海ふ頭公園（晴海緑道公園）が出来、公園におよそ1億6000万円の「TOKYO」とデザインされたモニュメントが誕生しました。

　モニュメントは都が設置したもので、建設費用はおよそ1億6000万円と、高額な費用について設置前から疑問の声があがっていました。

　午前0時を過ぎた頃、Redの投稿があり、ドリフト・アイスの声明があった。

［お見合いパーティー第四回

　日時：明日午前11時。

　場所：晴海埠頭（晴海緑道公園）。

　参加者：有限会社ドリフト・アイス有志の男性。

　 EITO東京本部の男性及び女性。

　来賓：渡辺渡辺道夫副総監。ワンダーウーマーン。

　主宰：ドリフト・アイス

　］

　翌日。午前10時半。中央区。晴海緑道公園。西地区。工場前。

　かつて、晴海埠頭と呼ばれたエリアは、かつての面影はない。海自は利用しているが、一般には立ち入り禁止だ。

　伝子は、公園側から、かつての闘いを思い出していた。まだ、EITOが存在しない頃だ。半グレの滝田会と、反社（ヤクザ）の有本組を同士討ちさせ、平定したのだ。

　伝子は、その功績を認められ、EITOにスカウトされたのだった。

「おねえさま。感慨深い？まだ、ワンダーウーマン風のコスプレ女だった頃を思い出しているのね。」「あつこ。嫌味か？」「いいえ、久保田のおじさまは、おねえさまこそ、この組織に必要だと思ったのよ。」

「おねえさま。大丈夫ですか？前線に戻って。私達がフォローするけれど。」と、なぎさは心配そうに言った。

　なぎさは、LGBTのBだ。男性でも女性でも『惚れた人間に尽くす』。隊員で知っているのは、あつことみちるだけだ。だが、伝子は高遠を愛している。心は揺るがない。

　組織にとっては、個人的感情は仇になりやすい。伝子はDDメンバーと『探偵ごっこ』をしていた時に学んだ。それでも、伝子は先輩でも後輩でも同輩でも、その関係者でも大事にする。

　伝子は、EITOの隊長であると同時にDDのリーダーなのだ。そして、母親だ。

「隊長。ここには、晴海埠頭公園もあります。緑道公園に何か意味があるんでしょうか？」と、金森が伝子に声をかけて来て、伝子は我に返った。

「早くからのお出ましだな。特に理由はないよ、と先に答えておこう。お前が大文字伝子、EITOの大将、いや、隊長か。」

　言ってきた、集団のリーダーに伝子は応えた。伝子は、彼の後方に500人位の集団を確認した。

「やっと、まともな『枝』が登場か。私だけ名前を知られているのは、不公平だな。」

「失礼した。蝮腹だ、通称マムシ。『仕事』には、割り切りが大事だ。準備体操でもしておけ。定刻には、間に合う段取りだ。」

　午前11時。

　マムシの言った言葉の意味が判明した。

　トレーラーが東地区側から10台やって来て、荷台部分から、夥しい兵士が降りて来た。トレーラーのドライバーは、いずれも巻き込まれるのを恐れて逃げ出した。

　皆、戦争映画に出てくるような感じだ。全部合わせて、ざっと1500人か。トレーラーから降りた連中は自動小銃と呼ばれるスタイルの機関銃を構えている。

　彼らが配置に付く前に、エマージェンシーガールズは、100メートルほど海側に待避そた。

　そして、工場脇に駐車していた、ショベルカーとタンクローリーが動き出した。

　無人の2台が向かって来たので、武装集団は対応が一足遅れた。

　2台の車は、一番手前のトレーラーの荷台に向かって行った。挟み込まれそうになった集団の男達は、どこかからか飛んで来た、胡椒弾の為、むせ返った。ショベルカーとタンクローリーは、草薙と青山がオスプレイ内から、リモコンで操縦している。

　胡椒弾とは、胡椒や山椒等、台所調味料で作った丸薬で出来た弾であるテニスボール大の胡椒弾は、地面に届くと破裂して、飛散する。

　呆気にとられていた、2番目のトレーラーの集団目がけて、弓矢が飛んできた。

　筒井、馬場、高木が田坂、安藤、浜田を乗せたホバーバイクが降りて来て、狙ったのだ。

　ホバーバイクとは、『宙に浮くバイク』のことで、民間の会社が開発、EITOが改造して運搬や戦闘に使っている。

　東地区方向から、マセラティ、ランボルギーニ、マクラーレンが到着し、3番目、4番目、5番目のトレーラーの前に到着、内臓のペッパーガンで撃ち始めた。各車に乗っているのは、本郷隼人、芦屋一美。芦屋二美だった。

　ペッパーガンは、胡椒弾と同じ成分の小型の弾で、普段はエマージェンシーガールズが装備、随時使っている。

　ここで、一旦散ったエマージェンシーガールズがチーム毎に6番目以降のトレーラーに向かって行き、ペッパーガンや水流ガン、フリーズガン、そして、シューターやブーメランを駆使して闘い始めた。

　水流ガンとは、飛び出すとグミ状になる水を発射する銃で、フリーズガンとは、液体窒素を用いた、文字通り凍った水を発射する銃である。

　シューターとは、あかりが最も得意な武器だが、うろこ形の手裏剣で先端に痺れ薬が塗ってある。

　EITOは、飽くまでも民間企業である。例え自衛官や警察官の出向で参加していても、通常の拳銃の携行は許されていない。銃は、エアガンの延長戦上の武器だ。アクシデントであっても、『致死』は許されないのだ。尚、田坂達の矢にも、先端に痺れ薬がぬってある。心臓や急所を外して撃つことは大前提である。

　午前11時。こども家庭庁長官宇佐美怜子の自宅。

　突然、宇佐美は誘拐され、クルマが高層道路に入った頃、後続の工藤の車と（女性白バイ隊）の連携で犯人を逮捕した。

　午前11時。総理官邸。

　伝子が予想した通り、闘いの場は、飽くまでも『メイン』の侵略場所であり、今回は総理が狙われていた。早乙女は、目にもとまらぬ早さで対処した。

「いつもながら、見事ね。宇佐美さんが狙われたのは、何故？」と、総理は早乙女に尋ねた。

　早乙女は、なぎさから聞いた水天宮の闘いを説明した。

「詰まり、こども家庭庁の長官だから？え、じゃ、今回の闘いは・・・。」

「水天宮の兵隊は少なかったと聞いています。」「ああ。」

　正午。。晴海緑道公園。

　銃が使えなくなった集団は、日本刀、木刀、ナイフでエマージェンシーガールズを襲い、エマージェンシーガールズはバトルロッドとバトルスティックで闘った。

　バトルスティックは、バトルロッドの3段変形可能なチタン製の棒である。

　午後2時半。

　闘いは終った。

　伝子は長波ホイッスルを吹いた。

　間もなく、愛宕警部、橋爪警部補、久保田警部補が率いる『片づけ隊』が警察官達と到着、護送車も到着した。

「先輩。みちるの件ですが・・・。」「もういい。済んだことだ。今度こそちゃんと産んでくれ。それと、みちる達のお陰で、ドリフト・アイスが子供家庭庁長官を襲うことを予見出来た。」

「どういうことです？」「東京タワーと東京スカイツリーの真ん中へんって言ったのは、水天宮への誘導だ。真ん中なら、違う場所だ。詰まり、この闘いは既に準備中だった。だから、長官が狙われた。『家庭』繋がりでな。言うなよ、みちるには。つけあがるからな、あいつは。」「了解しました。」

　愛宕は、伝子に敬礼をして、片づけ隊の指揮に戻った。

　西部警部補が、マムシを連れてきた。

「隊長。尋ねたいことがあるそうです。」

「なんだ、言ってみろ。」「あの投稿だけで、何故ここが？おれは、滝田会の人間だった。俺はあの時に生き延びた。」

「ああ。想い出深いな。あの時は、EITOはまだ発足いていなかったからな。本名だけでなく、ワンダーウーマンのコスプレもばれていたとはな。ドリフト・アイスは案外面白い奴だ。お前と再会させて対決させたかったようだな。」

「どの幹も、どの枝も勝てなかった訳だ。一つだけ教えてやる。次の幹は女だ。知ってるのはそれだけだ。」「それだけでも、助かる。更生しろよ。」

「ふん。」歩き出したマムシは、こけた。西部が助け起こし、伝子に首を振った。

「飯星。救急車だ。」戦闘で急死しても、救急車を呼ぶのはセオリーだ。

　飯星は、井関が運んで来た担架に、取り敢えずマムシを乗せた。

　やがて、救急車がやってきた。

「薬を飲んだ気配は無かった。恐らく時限性のものを先に飲んでいたのだろう。」と、伝子は、救急車を見送りながら言った。

　原田が近づいて来た。

「やはり、カメラはありました。隊長が、妨害電波で送信させなかったのは、わざとですか？」「そうだ。だから、水天宮のことは、伝わった筈だと思う。敵を利用するのは簡単ではない。そう言えば、何でお前の女房が参加した？」

「新里さんの住まいに伊登子が挨拶に行った時に、報せが入って、参加したそうです。スーツが7つだから余るみたいなやりとりを聞いて、参加したい、と。実は、伊登子はもう2ヶ月なんです。」

「分かった。編集が出来たら、映像を見せてくれ。」

　原田は、「了解しました。」と去って行った。

　原田の役目は、敵の監視カメラだけではない。『闘いの記録・編集』もあるのだ。

「伝子さん。」と、芦屋姉妹がやって来た。

「スーパーカーが増えてるな。しかも武装付きだ。」

　伝子がそう言うと、本郷が「泉さんがまた譲ってくれたんですよ、芦屋グループに、という名目でEITOに。」と言った。

「私達は、帰るわ。総子が来たがったけど、『おあずけ』って言ったら、『うううう』って、唸ってました。

「それじゃ、犬だよ。」と、横から筒井が言った。

　午後5時。伝子のマンション。

「幹や枝も色々だね。元半グレさんは、何でダークレインボーに入ったんだろう？」

　ちらし寿司をまぶしながら、高遠が言い、「さあな。成仏して欲しいな。」と伝子が言った。

「今度は女の『枝』？また、『くノ一』かな？アマゾネスかな？」と藤井が言ったが、「藤井さん、留守番お願いいたします。母さんと、おさむに会いに行って来るから。」と伝子は言った。

「はいはい。あ。了解。」と、藤井は敬礼した。

「呼んだ？」と、トイレから綾子が出てきた。

　3人は、大笑いした。

　―完―