最強転生者のゆかいなスローライフ生活SS ~モフモフとハーレム付きのスローライフに「さらに(S)」「しっかり(S)」しがみつく!~
SS1-6. 夢見る枕は並行世界を見せる(ムツキとナジュミネ その6)
SS1-6. 夢見る枕は並行世界を見せる(ムツキとナジュミネ その6)
ムツキとナジュミネがお互いを慰めるように抱きしめ合っている中、夢ムツキと夢ナジュの話は進んでいく。
ムツキたちがよくよく夢ムツキの方を見ると、近くで夢ムツキを応援している鬼族の若い娘たちもいることが分かった。夢ムツキが柵を綺麗に直しつつ、魔力を込めてより強固な柵にしているとキャーキャーと黄色い歓声が上がるのだ。
ナジュミネと夢ナジュの顔が非常に険しいものに変わっていく。
「ナジュ? どうした?」
「お兄ちゃん……どうしたじゃないよ! また女の子をそんなに連れて!」
夢ナジュが声を荒げながら夢ムツキに突っかかると、夢ムツキは困ったような顔で頬をポリポリと掻きながら、ゆっくりと言葉を出そうと口を動かし始める。
「いや……別に……俺が好きで連れているわけじゃ……」
「問答無用! ほら、みんなも仕事に戻って!」
もごもごと自信なさげに喋る夢ムツキを夢ナジュが一喝する。強弱の関係で言えば、夢ナジュの方が強いようで、夢ムツキは反論らしい反論もせずに怒られてしゅんとしているような素振りで仕事も動きも止まっていた。
その中で、女の子たちは割と平然とケロっとした様子でその場を立ち去ろうとくるりと身を村の中心の方へと翻していく。
「じゃあね、ムツキくん」
「また後でね、ムーちゃん」
「楽しみに待ってるね、ムッくん」
「あぁ……またな」
「またね? またね、なの?」
女の子たちが手を振り口々にそう告げていき、それに夢ムツキが愛想よく返している。もちろん、夢ナジュの怒りのボルテージは徐々に上昇していく。
「あっはっは! この世界のムツキもだいぶ女たらしのようだね☆」
「俺はあんなにひどくないぞ」
「いや、ハーレム作っている時点で女たらしでしょ……どの口が言ってんのさ……」
レブは高らかに笑いながらもムツキをおちょくるように話しかけると、ムツキが至って真面目に「自分はそうじゃない」といった雰囲気を本気の様子で返してきた。そのため、レブは思わず追加でツッコんでしまった。
「いやいや……俺はきちんと婚姻というステップを踏んで……ん? なんかちょっと熱い? えっと……ナジュ……?」
ムツキが夢ムツキとの違いを自分なりの解釈で説明し始めていると、胸の方が熱くなるのを感じていた。ただし、その胸の熱さは感情的なものではなく、物理的に何らかの熱源を抱えているという意味での熱さである。
熱源は言うまでもなく元・炎の魔王と呼ばれる炎のスペシャリストのナジュミネである。そのナジュミネはムツキの抱きしめている手を振り払って、両手でレブの胸ぐらを勢いよく掴み始めたのだ。
「おい……レブよ……妾が旦那様を独り占め……という話はどこへいったのだっ! 貴様……まさか幾度となく妾を裏切っておいて生きて返れると思っているのか?」
「ちょ、ちょ、ボクはただの案内人だし……ちょ、マジで、あっづ! あっっっっっづっ! 熱いって! それに首が……息が……」
「ナジュ、待て。本当にヤバいから」
「旦那様も旦那様だ!」
レブの顔色が七色変化し始めたあたりで、ムツキはマズいと思ってストップをかけようとした。
しかし、その結果、レブが放り投げられて解放されるものの、ナジュミネの怒りの矛先はムツキへと向かい始めた。
「え、俺?」
ムツキは何故自分が怒られ始めるのか分からずにきょとんとした顔でナジュミネを見つめ、その無頓着な雰囲気がナジュミネの怒りの炎をさらに煽っていた。
「そうだ! 旦那様が一番ひどい! なんなのだ! 独り占めできないとか、自信ありげに言いきって、
ナジュミネは涙を浮かべながら我慢していたものをすべてぶちまけるようにまくし立てて言葉を全部言い放った。
「す、すみません……いや、笑って否定したつもりはなかったんだけど……その、すみませんでした……」
「あぁ……いやだ……もういやだ……旦那様に強く当たるつもりなんてなかったのに……もういい……こんな夢、燃やし尽くしてくれようか……すべてをなかったことにしてくれよう……」
怒りと悲しみから自壊と自戒を経たナジュミネが魔力を練り上げていく。
「へ?」
「へ?」
ムツキとレブは素っ頓狂な声をあげた。
「【妾が放つは 闇よりも黒き 地獄の猛火……」
「おい、レブ大丈夫だよな? 夢でそんなことできないよな?」
「……分からない☆ 今、これ、試験運用だから☆」
所詮、夢の中である。しかし、ただの夢ではなく、レブテメスプの発明したトンデモ発明品を伴った並行世界を見るという夢である。
外乱がどのように影響するか分からない。
その上で、ムツキは「試験運用」という言葉に前の世界でのトラウマが呼び起こされて、今までになく驚いた顔をする。
「し、試験運用!? ……ナジュ、待った、待ったあああああっ!」
ムツキは詠唱するナジュミネの口を物理的に塞いだ。
「んぐっ……んうっ……んっ……んんっ……」
「おぉ……大胆なまでに大人なキスだね☆」
口の中で舌を動かされて詠唱を続けられないように、ムツキは濃密なキスという形で自分の舌をナジュミネの舌に絡めて、強制的に詠唱を中断させた。
その上で、より長い時間をかけて、ムツキはナジュミネの舌を
「んっ……んちゅ……んちゅ……んふふ……んふふふ……」
やがて終わった濃密な時間に、ナジュミネは顔を真っ赤にさせつつぽーっとした満足げな笑顔を浮かべる。
「今は俺、ナジュの独り占め状態だよ。愛しているよ」
「うん♪ んふふ……んふふふ……」
ムツキが髪を梳くようにナジュミネの頭を優しく撫でると、ナジュミネはムツキの胸に顔を埋めるようにひしっと抱きつく。
「なんでこんなに一触即発の割にあっさりと解決するんだろうね……あっちもあっちで似たような感じで抑え込んでるし……」
レブの視線の先には、夢ムツキがどかりと
「ほら、ナジュ……そうむくれるな……あったかいだろ?」
「う、うん……」
「こうやって抱きしめているのは今までナジュだけだから」
「うん……お兄ちゃん……ありがとう……」
夢ナジュもまた頬を赤らめながら満足げに大人しくなっていた。
「いつまで続くんだろうね? ってか、まだクリア条件のゲームの開始すらしてないんだよなあ……」
レブは二組のカップルを見て、遅々として進まない状況に「やれやれ」といった様子で深い溜め息を吐いた。
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