体感でわかる分数の勉強
九戸政景
本文
とある一軒家の子供部屋。母親が見守る中で小学校六年生程の少年が机に向かっていたが、頭をガシガシとかいてから鉛筆を机の上に転がした。
「もう、わかんないよぉ……!」
「
「ママぁ、分数がわからないよぉ」
「もう少し、もう少し考えてみない? ほら、一つの物を二つにしたら……」
「それはまだしも、2/1ってどういう事? それなら2で良いじゃん!」
「そうだけど……」
母親は困った顔をしていたが、やがて何かを思い付いた顔をすると、譲に一言断ってから部屋を出ていった。そして戻ってきた時には高校生程の少年を連れてきていたが、二人は身体に何も纏っていなかった。
「ま、ママ!? それに
「譲ちゃん、これが2/1なのよ」
「え?」
「譲、分数って上が分子で下が分母って言うだろ? つまり、上が子供で下が母親。それを2/1に当てはめると……どうなる?」
「えっと……子供が二人で母親が一人……だよね?」
譲が恐る恐る言うと、侑山は満足そうに頷く。
「そう。その答えはお前が嘆いていた通りで2だ。そしてそれを今から身体で教え込もうとしてるんだよ」
「か、身体で……?」
「この前、お前が相談してくれた事で精通したことを知ったからちょうど良かったよ。俺は前から母さんと男女の関係になってたからな」
「だ、男女の関係……?」
母親の身体をチラチラ見ながら譲が聞くと、母親は侑山に身体を近づけながら頷いた。
「亡くなったお父さんとお母さんがそうだったようにママと侑山ちゃんは愛し合ってるのよ。そして今から譲ちゃんもそれに加わるの」
「二人の男が一人の女に双子を生ませた実例はあるみたいだからな。俺達もそれを実践するわけだ。そうすれば、2/1が2になるのがわかるだろ?」
「ま、ママ……侑山兄ちゃん……」
「さあ、あなたもお洋服を脱いでこちらにいらっしゃい」
「母さんと一緒に実践形式でみっちり教えてやるよ」
譲は静かに頷くと自ら服を脱ぎ始め、生まれたままの姿になった譲の姿に母親と侑山は満足そうな顔をするとそのままベッドへ誘い、三人は止める人間がいない中で欲望の限りに交じりあった。
それからおよそ一年後、母親がそばで眠る双子の男児を愛おしそうに見る中、譲と侑山は静かにそれを見ていた。
「計算通り、だな。一年遅れにはなったけど、これで2/1はわかったし、3+2が5なのも結果的にわかっただろ?」
「うん、バッチリ。ただ、今度は生物の勉強がわからなくて……」
「おいおい、今度はそれかよ。でもまあ、母さんの状態が安定してきたらまた一緒に勉強してくれるよ。本当はもっと後に習う有性生殖をな」
「うん、楽しみだね」
譲の言葉に侑山は頷き、子供とは言えない大人びた顔つきで母親と双子を優しく見守った。
体感でわかる分数の勉強 九戸政景 @2012712
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