第1話 空白の時間。そして秘めた思い
入学式
「泉ケイトです。新任なのでまだまだわからないことはたくさんありますが、よろしくお願いします。」
「ということで泉先生の担当教科は...」
「入学式お疲れ様。泉君。これから一緒に頑張ろう。」
「はい!改めてよろしくお願いします。」
まさか、篠原先生と同じクラス担当になれるなんて、これから頑張るぞ!
「そうだ、泉君。せっかくだし。これからご飯に行かない?卒業したあとの話も聞きたいし。」
「ぜひ!喜んで!」
篠原先生とご飯だ!今日は最高の日だ。
居酒屋
「ほんとに泉君は大人になったよね。」
「卒業してもう6年立ちましたしね。」
「6年か...どおりで私もおばさんになるわけだ。」
「先生はおばさんじゃないです!若いです!」
「そう言ってくれて嬉しいよ。でも私今年で30だよ。この年にもなって彼氏すらいないしさ。」
先生彼氏いないのか。じゃあ僕にもチャンスあるかな?今までは生徒として、学校でしか会えなかったけど、今度は近い立場でこうして何気ない雑談に花を咲かせて、ゆくゆくは...
「そういえば泉君、大学はどうだった?」
「そうですね、なんだか新鮮で、今まにない経験がたくさんできました。すごく楽しかったです。」
でも本当は、先生に、大切な人に会えなくて正直苦しかった。僕の心の中は空っぽだった。
「泉君?」
「ど、どうしましたか?」
「なんだか暗いよ。なにかあったなら聞かせて。」
「それは...」
「まあ無理して言うこはないわ。でも、せめて生徒の前だけでも。暗い顔はやめて欲しいな。生徒は先生を見て育つから。先生が暗い顔してたら、生徒も暗い顔になっちゃうし。」
「そうですよね!わかりました!」
やっぱり先生はかっこいい。いつも僕の憧れだ。僕はそんな篠原先生が好きだ。生徒思いで、何事にも全力な先生が好きだ。いつかこの思いが届くといいな。
その日まで...それこそ定め たまご @tama1123
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