苦悩と幸福の入り交じった秘密を胸に、彼女と彼女は未来へと泳ぎ出す

戦後の復興から東京オリンピックにいたる昭和30年代という時代の中、両親を失い里親に虐待される少女とその友達、そして台風の日に行方不明になったもう一人の少女。目の前に海が広がる小さな世界で彼女たちが経験する絶望と日常と希望の日々が、「水泳」という競技に収斂していく展開から目が離せませんでした。人の痛みを思いやり、秘密を共有する彼女たちの優しさと重ねていく日々に、心を打たれます…。

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