僕が僕であり続ける為に

伊鶴(いづる)

拝啓 皆様へ――

(やはり僕は、誰かに認めてもらえるのが当たり前なんだ。)


 そう思ってしまえば、きっと気持ち的にも楽になると思った。

 みんなが思っているような『普通のヒト』として生き続けると思ってしまった。ただ、実際は違っていたんだ。バカなことをしてたようだ。


 普通ってね、実はその人にとっての『常識』みたいなものなんだって。だから僕がこうやって書き残しているのも、きっと誰かが気づいてくれることを願っているからだと思う。まあ、こんな遺書みたいな文章なんか読む人は居ないと思うけどね。

 でも、普通の人になる為に、何度も努力して認められるように頑張った。それが精神的にも悪いと思っていても。誰かから愛されることを願って――ただそれだけだったのに、どうしていつも僕は……。


 今日は同級生の……いわゆる異性の友人と遊びに行った。大した事は無い。ただ買い物をして、近況報告をするような他愛のない話だ。

 ぼんやり空を眺めていたら、彼は「どうしたの?」と声をかけてくれた。僕は「平気だよ、何でもない」と笑ってみせた。精神的に病んでいると伝えたら、どう思われるのか分からなかったから言わなかった。その時はね。

 でも、さすがに言わなきゃなぁ~~とか思った。それが、第二回目の遊びに誘ってくれた時だった。僕にとっては、かなり珍しい事である。


「ねえ、何で僕なんかを誘ってくれるの?」


 何となく聞いてみた。

 すると、彼はウーンと考え込んでから、ヘラッと笑いながら言った。


「なんか、病んでいるんじゃないかと思って」

「は?何それw」

「違った?」

「合ってるけどさぁ」


 そう言って目を逸らした。コイツは前から勘だけは良かった。変わり映えの無い会話に心地よさすら感じる。他の人には無い……何か別の何か。

 分からないけどね。コイツが本当に何も考えていなくて、適当に言っているだけかもしれないっていう可能性だって捨てきれないんだから。でも、うん。嬉しかったなあ。僕という存在を認めてくれているような感覚……懐かしくて、自然と笑えた。

 それでさ、アイツとはどうにもなっていないんだけど、正直羨ましさすら感じるんだよね。特別なのかなぁ。わっかんない。誰かと遊びに行って、死ぬほど笑って~~みたいなエピソードを聞くたびに複雑な気持ちになってさ、人として終わっているというか「あっ、そうなのね」としか言えない自分って何なの?って思うのよ。分かってくれる人っているのかなぁ。

 人間としての感情のほとんどを捨てて生きてきたから、何のカードに当てはまるかなんて分かってたまるかって話なんだけどね。


 それで、まあ話が逸れるんだけど、その日から梅雨が始まったんだよ。面白いよねぇ。

 僕のメンタル的な部分でグズグズになって、体が動かなくなってしまって。食べたいものも食べられないような感覚になって……。軽い拒食にでもなれば、信じてもらえなかった人たちから信じてもらえるのかなぁとか……ぼんやり考えてた。

 それでも生きていかなきゃいけないから、だから僕はどうにかしようと踏ん張っているんだけどね……。あっ、実は6月6日に退職したから、今は無職なの。だから余計に感じるんだろうね。些細なストレスに「他人のせいにしちゃえばいい」なんていう……そんな最低な気持ちになっているんだから。


 夕飯を食べようとして、コンビニで買った食べ物は――まだ手を付けてない。だって、自分の悩みを家族に話したら全否定されたんだから。アンタが悪い、的な。そんな事ないのにねぇ? そうでもしなきゃメンタル保てないんだよ? じゃあ、お前がストレス源を殺す? できないでしょ?

 だから困っちゃってさぁ。対処法なんて分からないし、結局どうしようもないし、勝手に死ぬのを待っているけど病院を通うのを辞めないし、辞めたらワガママお嬢様が悪化するでしょ? どうすればいいのよ?

 家が雨漏りしていても放置。水道が使えなくなっても放置。金銭感覚が死んでても放置。すべて放置で何とかなると思ってる。全員が全員、そう僕も含めて考えてしまっている。そんな場所から逃げ出したいのに、金が無い。本当に嫌になるね。


 んでさ、僕がこうやって黙々と小説ではない……詩?みたいなものを書いているのも、多分だけど自己満足だよ。こうやって何かに残さないと、何も残らない気がしてさぁ……人のせいにするなって言われても、あんまり自分のせいだと思えないんだよねぇ。だって僕を不快にさせたほうが悪くない?


 あまりにもイライラするから、過食に走れば「太るから辞めなってw」とか言われるし、何が太るからだよ。お前だって同じようなもんだろうが。なんて思っていたら、言葉に出ちゃってるし、もう終わりだよ終わりw

 あ、でも、待って。話は聞いて欲しいんだよ? まずは~~そうだなぁ、うちの家系の話をしようか。


 そもそもの問題で僕の祖母がかなりの偏食で、甘いものが大好きなんだよ。ご飯を食べる時だって出来るだけ自分では選びたくない派だし、でも、偏食だから嫌な物の方が多いし……。

 そんな姿を見て育っていると、そういう変な人になってしまうっていうのは習ってないのかなぁ。本当に困っちゃってるんだよねぇ。

 でもさ、そんな偏食持ちで好き嫌いするような奴に「痩せなよw」とか言われたくないでしょ? だからイラッてきたの。太っているし、まだ考えが甘い方かもしれないけど、前よりもマシになったんだから。認めてくれたっていいじゃん。

 これも全部、我儘に入るのかなぁ。ははは、もう分かんない。


 とりあえず今回は、この辺で終わりにしておきます。何かの感情が動き次第だと思うけど、書き残していきたいと思っています。

 ちなみに、これからの物語はほぼノンフィクションで、半分以上は作者の妄想です。何も考えずに読んでくれると助かります。というか、あまり本気にしないでね。

 読み終わった時には、気分が落ち込んでいるかもしれないから。

 もしも、僕と同じような気持ちになれたなら、それはもう、僕の本望です。

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