第4話

「……ちゃん? 健ちゃんてば!」

「あ……あれ? 俺今何して……」


 気づけば、目の前のテーブルには、琴子と一緒に作った料理と、琴子が買ってきてくれたケーキが並んでいる。


「なんか今、ものっそい幸せな夢を見てた気がする」

「やだもう健ちゃん、起きたまま夢見てたの?」


 呆れたように健を見る琴子。


「うん」

「ねぇ、どんな夢?」

「うん……」


 琴子の肩を抱き寄せながら、健は言った。


「なんかね。琴ちゃんと俺がずっと一緒にいられる夢」

「……嬉しい」


 うっとりとした顔で目を閉じ、琴子は健の肩に頭を預ける。


「20歳のお誕生日おめでとう、健ちゃん」

「ありがと、琴ちゃん」


 琴子の頭を優しくなでながら、健は小さく呟いた。


「彦星と織姫も、ちゃんと会えて幸せになれるといいな」


 目を閉じたままの琴子が、小さく微笑んだ。


【終】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

七夕の約束 平 遊 @taira_yuu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ