ととろ 🚌

上月くるを

ととろ 🚌



八月のひかりまとへる草の声

野牡丹やまつ毛の長き犬と妻


赤のままひな鳥めける女の子

よその子に懐ける猫や鳳仙花


涼新われに奢れるプリンパフェ

玉蜀黍でとなりのトトロ吹いてみる


橋ふたつ渡れば駅や蓼の花

市街地と農地のさかひ螢草


通学の駅舎ふるびてカンナ赤

蜉蝣と渡り廊下ですれちがふ


きれいな眸きれいなこころ白桔梗

いつもそこしくといたみぬ濃竜胆


瞬きのシャッター瞬時ちちろ鳴く

秋ゆふべ橋のたもとに待つはたれ


天わたる鳥のいうやう秋の夕

さざ波に月をゆらせて秋の川


正円のすつきり丸き秋の月

網の目に奔る湧き水流れ星


星月夜独り住ひの幾星霜

高原の馬の寝息や天の川




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