Day31 またね

 取り上げたビー玉を、隣家の主が、片手に抱えた首に呑み込ませていく。一粒またひとつ、僕の日々が消えていく。

 全てを飲み終えると、首無き主は、首をあるべき場所に据えた。

 扉を開けて出て行く背に、僕は声をかける。

「また、いつか」

 僅かに微笑むこの人は、誰だっけ。

 扉が閉まる。蝉の声が聞こえていた。

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ビー玉集め 【 文披31題 】 中村ハル @halnakamura

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